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AM四方山話 #1 はじまり

2021/02/22

アプリケーション開発・受託製造 技術コラム

AM四方山話の連載にあたって

 1987年に世の中にあらわれた3Dプリンタ、当時はラピッドプロトタイプ装置と呼ばれていましたが、3DCADデータさえあれば機械加工もなしに3次元形状がつくれる画期的な装置ということで日本でもその後多くの企業が参入してきました。

 1994年には技術の啓蒙と業界の発展のために光造形産業協会(のちにRP産業協会に改称)が設立され、年二回(途中から年1回)のシンポジウムも開催されましたが、残念ながらこの事業での各社の業績は低迷し、各社の担当者はつらい日々を過ごしたものと推察します。

そのせいか協会の会合に参加していた担当者達はコンペチターであると同時に、一種の連帯感を持っていたように思います。
RP産業協会は2015年に解散しましたが今でも夏と冬にはメンバーが集まって旧交を温めています。

 黎明期から現在までこの事業に携わっている人は数は少ないですが、私も含めて「生きた化石」とか自分達を揶揄しています。
そんな「化石」ですが、今事業を推進している若い人たち、あるいはこの技術を活用して世界で戦える製品をつくろうとしている人たちに参考になる情報を提供できればいいかなと思い、この連載を始めることにしました。

但し、役に立つ情報は少ないと思いますし、主観と想像も混じりますのでその点はご容赦ください。

XAMのAM事業の始まり

 私の所属しているNTTデータ ザムテクノロジーズという会社は、ドイツのEOSという会社の3Dプリンタに関する代理店をしています。

販売並びに、技術サポート、アプリケーション開発、最近では受託生産までカバーしているわけですが、営業活動をしている中で、『どうしてNTTデータさんがこういう商売をしているのですか?』とよく聞かれます。どうもIT業界が片手間に何かやっているようなイメージで捉えられているのではないかと思うのですが、実は弊社は、そもそも造船会社のコンピュータ部門が独立してできた会社なのです。

 もうかれこれ40年以上前になりますが、その造船会社は当時、メーンフレームと呼ばれている大型計算機を、例えば鉄板のNC切断だとか、パイプの曲げだとかの分野に初めて採用したくらいで、コンピュータを使う技術に非常にたけていた会社でした。そういうコンピュータの技術をぜひ外販していこうではないかということでつくられたのがXAMの成り立ちです。XAMという社名になるまでに2回社名が変わりましたが、やっている仕事やフィロソフィーは全くブレずに来れたことは幸いだったといえます。

CAD/CAMを開発

 その会社がまず何をしたかというと、コンピュータ技術を使って3次元のCAD/CAMシステムを開発しました。恐らく日本で3次元CAD/CAMシステムを開発した初めての会社ではないかなあと思います。3次元のCADデータから、工作機械を制御するためのNCデータを取り出す機能が特にすぐれていたということで、主として金型業界で高い評価を得ておりました。

 当時、その3次元CAD/CAMシステムを核としてその周りを補完するようなシステム、例えば解析ソフトだとかシミュレーションソフト、あるいは生産管理ソフトといったものを充実させて、お客様のニーズに幅広く応えていくという経営方針を持っていました。残念ながら自社でそのような多様なシステムを全て自前で開発することはできなかったので、特にアメリカ、ヨーロッパから優秀なシステムを見つけてきて、それを自社のCAD/CAMシステムとインテグレートしてお客様に提供するという活動を行っていました。

 私は、欧米のいろいろなシステムを見つけてきて、契約をして、それを日本で販売する、あるいはサポートする、そういう商品発掘の仕事に携わっていました。

海外事業部とか事業企画部という名前でやっていたのですが、その中の一つとして、3次元CAD/CAMのアウトプット先として当時世の中に出始めた3Dプリンタ(当時はラピッドプロトタイプ装置といわれていました。)が、ものづくりの役に立つのではないかということで、扱うとしたらどれがいいのか世界中を探し回りました。

世界中といってもアメリカかヨーロッパなのですが、そういう中で探し出したのが、ミュンヘンのベンチャー企業であったEOSという会社の製品です。

3Dプリンタ事業のはじまり

 早速日本の総販売代理店の契約をしました。それが1993年の話です。ことしは2021年なので、もうかれこれ私はこの仕事を28年やっていることになります。

普通そういう海外のシステムを見つけてきて契約すれば、担当部署にシフトするのですけれども、どういうわけかこの3Dプリンタだけは誰も引き受け手がなくて、結局自分でやらなければいけないはめに陥ってしまったのです。
28年のうちの最初の15年ぐらいは全然売れず、赤字続きでした。

この装置を導入すれば、こういうことができる、ああいうことができるといったことを盛んにPRしたのですが、全然売れず、つらい思いをしたことが思い起こされます。

次回、『EOSとはどういう会社か?』


著者紹介

前田 寿彦/ Toshihiko MAEDA




略歴

1952年 大阪生まれ

1977年 大阪府立大学大学院工学研究科船舶工学 修士課程修了

1978年 日立造船情報システム(株)入社

1991年 海外事業部部長

1993年 独EOS社と積層造形装置の日本国内における独占販売契約締結。

     以後、EOS社の積層造形装置の事業推進に従事し、現在に至る。

2021年 2月1日現在

    (株)NTTデータ ザムテクノロジーズ ソリューション統括部 技術部

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