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AM四方山話 #16 アディティブマニュファクチャリングを実現するには

2022/03/24

アプリケーション開発・受託製造 技術コラム

>>前回のお話『#15 粉末材料の危険性』はこちら

パーツスクリーニングの重要性

 

 アディティブ・マニュファクチャリング(AM)を実現したいという動機にはいろいろあるかと思います。

速く、安く部品を作りたい。高性能な部品を作りたい。既存工法では加工できない形状を作りたい。スペアパーツ オンデマンドを実現したい。等々、いろんな要望を3Dプリンタがかなえてくれそうです。その中で「速く安くものがつくれるのか?」というのが大方の関心事ではないでしょうか?

3Dプリンタの黎明期、特に金属積層造形の場合、機械加工でつくった部品と同じものを3Dプリンタでつくらせて両者を比較し、コスト、品質、精度、どれをとっても3Dプリンタはまだまだ使えないなあという評価を下すのが一般的だったのは致し方のないことだとは思いますが、3Dプリンタのことがかなり理解されるようになった今でも、「AMを適用する意味は有るのか?」という問いに答えることは相当難しいことだと思います。

 以前お話したように、要求される品質、精度、機械特性で部品を造形するためには試行錯誤を重ねる必要があります、即ちパラメータ調整、造形、各種計測・評価の繰り返しです。 それ故に、AMを実現するには多大な時間とコストが必要となりますが、ここで問題となるのは「その部品にそれだけの時間とコストをかける価値があるのか?」という素朴な疑問です。言い換えればAMを採用するに当たって、まず最初にそれがAMを適用すべき部品なのか否かのスクリーニングが大事であるといえます。パーツスクリーニングの評価項目としては以下が挙げられます。

  • 造形サイズ、材料、要求される品質、生産量  ⇒ AMで対応可能か?
  • 複雑さ、造形時間  ⇒ AMによるメリット、コスト低減はあるか?
  • AMによる高付加価値化はあるか?

要求される品質を実現できるか否かの見極めは、豊富な経験とトライアンドエラーの造形、評価が不可欠であり、初めて装置を導入するユーザにとっては難度の高い課題だと思われます。

受託製造先の選定

AMの導入を考える場合、まず目的とする部品をサービスビューローに造形依頼をかけるのが一般的かと思いますが、その場合、単に造形費用が安いビューローに部品を作ってもらいその部品を評価するのではなく、スクリーニングも含めてAMの実現に向けとことん付き合ってくれるビューローと協業で品質を追い込んでゆくという姿勢が大事なことだと思います。

日本でも航空宇宙分野を筆頭にこのようなアプローチが認識されつつあるようですが、更に他の工業分野に広く認識されることでAMの発展や日本の工業製品の競争力アップにつながるのではないかと考える次第です。

次回、最終話『3Dプリンターの世界』


著者紹介

前田 寿彦/ Toshihiko MAEDA




略歴

1952年 大阪生まれ

1977年 大阪府立大学大学院工学研究科船舶工学 修士課程修了

1978年 日立造船情報システム(株)入社

1991年 海外事業部部長

1993年 独EOS社と積層造形装置の日本国内における独占販売契約締結。

     以後、EOS社の積層造形装置の事業推進に従事し、現在に至る。

2021年 2月1日現在

    (株)NTTデータ ザムテクノロジーズ ソリューション統括部 技術部

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