導入事例

モノづくりの未来を拓く研究機関でEOSが活躍
国家プロジェクトから生まれたAMの中核的拠点

2021/04/28

AM装置導入事例

大阪大学大学院工学研究科附属
異方性カスタム設計・AM研究開発センター

 大阪大学 大学院工学研究科附属 異方性カスタム設計・AM研究開発センター(以下、阪大AMセンター)は、AMを主体とするモノづくりのイノベーションを探究する研究機関です。日本の大学で唯一、合計4台の金属3Dプリンターが稼働しています。高スペックの金属3Dプリンターを活用しながら、産学官連携による高付加価値な製品の実用化を目指す阪大AMセンターで、2台のEOS M 290が活躍。異方性構造・組織制御、新材料開発、計算機シミュレーション、インプロセスモニタリング等、AMに関わる幅広い研究開発が進められています。

異方性カスタム設計・AM研究開発センター

“関西から全国へ、全国から世界へ”

 阪大AMセンター設立の契機は、内閣府の「戦略的イノベーション創造プログラム(以下、SIP)」への参画でした。また、大阪大学 工学部・工学研究科が設定している「Techno Arena」の重点12分野の一つに「デジタル造形工学」があり、その中枢としての役割も担っています。同センター長である中野貴由教授は「関西地区にAMに関する研究・開発拠点を作ることを目的にスタートしました。SIPでの取り組みとして、3D造形の異方性構造・組織制御や計算機シミュレーション技術の高度化、航空宇宙材料を中心に等方性・異方性機能制御のデータベース構築と逆問題解析によるプロセスパラメーターの最適化などを推進してきました。当センターには、AMに関わる研究開発を推進するため、さまざまなバックグラウンドを持った研究者が集まり、基礎研究から応用研究、実用化を見据えた取り組みを行っています。“関西から全国へ、全国から世界へ”がキャッチフレーズで、いずれAMは産業の大きな柱になると確信しています」と話します。さらに「研究開発の中で、2台のEOS M 290は重要な役割を果たしています。XAMの協力でこれらの装置を常に最高の状態で維持できていることは非常に重要であり、研究者としてありがたく感じています」との評価をいただいています。

大阪大学教授
異方性カスタム設計・AM研究開発センター
センター長 中野 貴由
(インタビューは2020年10月)

多くの可能性を有するカスタム設計

 阪大AMセンターの研究成果で注目されている分野に、異方性カスタム設計があります。鉄などに代表される一般的な人工物は、いずれの方向に対してもほとんど同じ性質を示すため、等方性と呼びます。自然界の創成物などのように強度や弾性率などが方向によって異なることが異方性です。3Dプリンターを使って異方性を制御して特定の方向に必要な機能を発揮することで、高付加価値製品を作ることができます。骨などは大部分が異方性組織で占められており、骨折時に埋め込むインプラントなど、医療や獣医療向けにAMの実用化が進められています。中野教授によると「市販の金属製プレートのインプラントを骨折箇所に取り付けた場合、骨そのものが萎縮することがあり、治癒後にプレートを取り除く再手術などが行われていました。異方性カスタム設計では、骨に近い弾性率を持ちながら取り付ける部分は高強度にするなど、部位に応じた最適な特性を持たせることで、そういった現象を回避することができます」と話します。

部位ごとに、材質・形状を同時に制御して
作られるインプラント

伴侶動物用カスタム骨インプラント
(ウサギの脛骨(けいこつ))
AMによる異方性制御による製品化
航空宇宙産業(タービンブレード)

新しい材料開発とプロセス条件を導く研究

 AMの研究を続ける中で、新たな材料開発も進められています。従来よりも優れた力学特性、耐腐食性を持つステンレス鋼や、高強度を維持しながら1400℃でも使用可能な複相シリサイド合金が開発されています。シリサイド合金は、高融点金属のモリブデンとシリコンとを組み合わせたもので、加工が難しいという課題がありましたが、原子配列や組織を制御することで、複数方向への高い強度と延性を実現した複相シリサイド合金などの新材料の開発につながっています。また、アルミ合金や銅合金などレーザーの反射率が高くて入熱が困難な材料でも造形物を緻密化したり、原子配列を制御して造形物を高付加価値化する研究が進められています。

(ステンレス鋼造形体の組織制御)

EOS M 290の走査パターンを制御して結晶組織を変化させることで、さまざまな材料特性を実現

もう一つの重要な研究として、インプロセスモニタリングと計算機シミュレーション、逆問題解析の連携があります。中野教授によると「AMで製品を作る側の責任として、品質保証をどのように行うかが課題です」と指摘します。EOSのモニタリングシステムで造形中の現象を監視して、その情報を基に計算機シミュレーションします。造形中に不具合があればフィードバックし、その場で修正することで最終製品の品質を保つことが可能になります。計算機シミュレーション活用に関しては、材料の結晶構造を最適化するためのプロセス条件を導くための逆問題解析の研究も推進しています。高強度耐熱材料を創製するための条件をAIで予測するといったことが可能になるとのことで、AIを用いるAMシステムの研究も最重要なテーマとして位置付けてられています。

EOS M 290(監視システム:EOSTATE MeltPool)

 中野教授は「金属3DプリンターはIoTの申し子であり、物流革命やスマートファクトリー化にもつながります。例えば、情報通信技術との融合で、カスタム医療デバイスの供給など遠隔地医療などにも貢献できます。近い将来、どの地域にも金属3Dプリンターがあることが当たり前になる時代が来ると思っていて、金属3Dプリンターによって創生される新たな文化があってもいいと思います」とAMの可能性を語ります。EOSは、多くのプロセスパラメーターの設定が可能なため、さまざまな研究を実現するには最適です。2025年に開催予定の大阪万国博覧会や、2030年を最終年とするSDGsでの設定目標などの節目を見据えながら、さらなる研究開発が続けられています。

センタープロフィール

名称 大阪大学大学院工学研究科附属 異方性カスタム設計・AM研究開発センター
Webサイトhttp://www.mat.eng.osaka-u.ac.jp/sipk/
本社大阪府吹田市山田丘2-1 吹田キャンパス 大阪大学大学院工学研究科(フロンティア研究棟(F2棟))
設立目的高付加価値な製品の設計・製造を可能とする革新的な技術研究開発およびモノづくりに関わる
異なる領域のプレーヤーをつなぐ拠点(ネットワーク)を形成することにより、
AM(Additive Manufacturing)をはじめとする新たなものづくり技術を確立することを目的としています。

ソリューション紹介

阪大AMセンターには、豊富な人材に加えて、4台の金属3Dプリンター、3D-CAD、計算機シミュレーションツール、高性能解析システムを含む各種試験装置などが備えられています。その中で、2台のEOS M 290や監視システムのEOSTATE MeltPoolなどを活用しながら、可能な限り精度を高めた実験が繰り返されています。

EOS M 290
仕様
造形領域 250mm×250mm×325mm
積層厚※ 0.02mm~0.06mm
レーザータイプ Yb-fiber laser 400W
サイズ
システム 2,500mm×1,300mm×2,190mm
再循環フィルタシステム
プレフィルター 930mm×954mm×1,710mm
ファインフィルター 781mm×818mm×1,448mm
重量 約1,710kg

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