2016年にEOS M 400-4 が発売され、はや10年になります。この間、さまざまなメーカーから大型機が発売され、世界最大のAM展示会「formnext2025(独)」でも依然として大型機がグローバルなトレンドとなっています。この記事ではEOS社の最新大型機を紹介しますが、その前に、ここ15年ほどの金属3Dプリンターのトレンドについて振り返ってみたいと思います。
金属3Dプリンターの開発当初の造形領域は、どのメーカーもおよそ250×250×300mmほどで、レーザーは1本でした。これは、当時のひずみの問題や、レーザー1本の造形可能な範囲、粉末材料の取り扱い、造形する部品のサイズなどの理由からでした。EOS社でも、EOS M 400が市場に出るまでは同等サイズでした。 3Dプリンターがある程度の完成度に達すると、複数のレーザーを搭載したものが老舗メーカーから発売されます。既存工法と比較すると、3Dプリンターには造形速度と生産性に課題があり、複数のレーザーでそれをカバーしようというわけです。 レーザーは3Dプリンターの部品の中でも高価なため、複数のレーザーを搭載した3Dプリンターの価格は上がりますが、その分早く造形できるので時間単価は安くなります。また、レーザーが増えることで照射領域が広がります。そうすると、大型部品の造形に可能性が出てきます。このように、複数レーザーを搭載することにより、250mm角でも生産性が上がる、もしくは、大きな領域で一度にたくさん作れるようになると、試作機としての運用から、生産機としての運用への移行に期待が高まります。
3Dプリンターを生産機として運用する事を考えた時、品質はとても重要です。製造業界にいる企業は製品が狙いどおりに造形できているか保証しなければなりません。前回の「3Dプリンターの導入で直面する課題とは」でも紹介しましたが、層毎に積みあげていくため、層間がしっかり結合されているか、溶融部に空隙が生じてないか、粉末材料が十分に溶融しているかなど、不安要素がいくつもあります。 製品が適切に造形されているかどうかは、目で見るだけでは確認ができないため、造形を監視して品質を保証するモニタリング機能が登場します。モニタリングと一口に言っても何種類かあり、一層毎に写真撮影をしていくもの、輝度を計測するもの、スパッタをモニタリングするものなどがあります。また、品質保証では適切に造形できる部品が1個だけでは不十分で、どの3Dプリンターを使っても造形領域全体で要求値を満たす製品が、毎回同じように造形できることを証明しなければなりません。 EOS社では、3Dプリンターの状態を記録する機能、レイヤー毎に撮影する機能、メルトプールから発せられる光の輝度を計測する機能を備えているほか、「EOS M 290の性能」調査では、複数台のEOS M 290が安定して造形できる事を証明しています。これは量産にとって大きなアドバンテージとなるでしょう。
EOS M4 ONYXは宇宙、航空、防衛のほか、エネルギー、半導体分野のような要求の厳しい産業向けに設計されています。自動化対応の大型機で、この3Dプリンターはお客様からの要望が大きかった“信頼のおける品質”、“費用対効果の高い生産性”、“大型造形”を満たすものです。 EOS M4 ONYX の造形領域は450×450×400mm、400Wレーザーを6本搭載し、Dual Setup Stationを採用していることで、造形終了後、次の造形のために準備を約30分で完了できます。また最適化されたガスフローと積極的な温度管理により造形品質が向上します。さらに、新しいフィルターシステム「RFS Pro」の採用により粉末回収率90%を実現し、廃棄物を減らして環境負荷を低減することができます。