金属3Dプリンターの造形方法の一つに、ハイブリッド造形というものがあります。これは他の加工機で製作した部品にPBF(Powder Bed Fusion=粉末床溶融結合法)方式の金属3Dプリンターで継ぎ足して造形する造形方法です。 3Dプリンターで製造するメリットがある部分と、従来加工機で対応できる部分とで製造方法を分けることで、3Dプリンターのみで製造するよりも製造時間の短縮やコストの削減などができる場合があります。更に材料によっては異なる材料同士の接合もできるため、たとえば安価な材料を使用して製造した部品の上に、高価な材料を使用してハイブリッド造形することも可能です。この記事では、実際にハイブリッド造形を行った事例をご紹介いたします。
しかし、ハイブリッド造形特有の難しさも存在します。その一つに製作した部品からハイブリッド造形を開始する際、境界部のずれを発生させないために、位置合わせという作業を行う必要があります。ハイブリッド造形をしない一般的な造形では、造形データの座標と実際に照射する座標とに僅かな誤差が生じても問題がないため、3Dプリンターは機械的原点を持っていません。この位置合わせをサポートする機能としてEOS社の金属3Dプリンターには、Reference Point Calibrationというオプション機能を追加することができます(図3)。ハイブリッド造形の際にはこの機能を使用することで、造形データの座標と実際に照射する座標の誤差を補正することができます。この作業にはある程度の慣れが必要となりますが、当社よりレクチャーをさせていただきますのでご安心ください。