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2026.03.23

金属3Dプリンターの造形手順

 当社が取り扱っているEOS社およびAMCM社の産業用金属3Dプリンターは、金属粉末をレーザーで溶かして形状をつくり出す積層造形という技術が使われています。
今回は、金属粉末積層造形について、設計用ソフトウェアを利用した3Dデータの作成から、応力除去や表面処理など、一連の流れを以下の項目に分けてご紹介します。


① 3Dデータの作成
② 造形物の配置、サポート設計
③ EOS専用ソフトウェアEOSPRINTで造形準備
④ マシンセットアップ
⑤ 造形開始
⑥ 造形完了、造形物の取り出し
⑦ 熱処理
⑧ 造形物とベースプレートの切り離し
⑨ サポート除去・表面仕上げ
⑩ 未焼結粉末の再利用

① 3Dデータの作成

3DCADなどの設計ソフトウェアや、形があるものであれば3Dスキャナーなどを使い、造形用の3Dデータを作成します。3Dプリンターでは、一般的に「STL」というデータ形式が使用されています。設計の際には、造形角度、横穴形状等に関してはAMならではのデザインルールがあるため、設計制約を考慮したDfAM(Design for Additive Manufacturing)を行うことをお勧めいたします。
図1.データ作成の様子

② 造形物の配置、サポート設計

3Dプリンター用ソフトウェアを使用して、造形データの配置やサポート設計を行います。金属粉末積層造形では「サポート」と呼ばれる、造形するパーツを支える構造を別途設計する必要があります。サポートには、支える役割だけでなく設計することでレーザー焼結時に熱伝導を上げて金属AM特有の残留応力による変形を防ぐこともできます。
サポート部分は造形後には取り除くため、取り除きやすさも考慮した設計が必要になります。
図2.造形物のサポート(赤枠部分)

③ EOS専用ソフトウェアEOSPRINTで造形準備

積層造形は一層一層積み上げていく造形のため、3Dデータをスライス状のデータに変換する必要があります。EOS 3Dプリンターでは造形準備専用のソフトウェアEOSPRINTを使用し、スライスデータの作成とレーザー出力や速度、積層厚などの設定が可能です。EOS社は材料ごとに専用のパラメーターを提供しており、そのパラメーターを利用することにより、お客様はレーザー出力や速度等の設定値を変更することなく最適な造形を行うことができます。
図3.EOSPRINTの操作画面

④ マシンセットアップ

造形するために材料を補充し、リコーターブレードを取り付けて、プラットフォームのレベリング調整や高さ調整等の造形準備を行います。
図4.マシンセットアップの様子

⑤ 造形開始

造形データの準備、マシンセットアップが完了したら、準備した造形データを3Dプリンターに転送して造形を開始します。金属AMの場合は、ベースプレートと呼ばれるプレート上に造形されます。
図5.造形の様子

⑥ 造形完了、造形物の取り出し

造形が完了したら、産業用掃除機を使用して3Dプリンターに残った未焼結粉末を吸い込みます。粉末を回収したあと、造形物をベースプレートごと3Dプリンターから取り出します。
図6.造形後の粉末回収の様子

⑦ 熱処理

材料や形状によっては、造形物に溜まった応力を除去するために熱処理炉にて熱処理を行います。
ほかにも熱処理を実施することで、造形物の材料本来の特性を発揮させることが可能です。
図7.熱処理炉

⑧ 造形物とベースプレートの切り離し

金属積層造形の場合、ワイヤーコンターマシン等を使用して造形物をベースプレートから切り離します。
図8.ワイヤーコンターマシン

⑨ サポート除去・表面仕上げ

サポート構造が付いている造形物は、タガネ等を使用してサポートを除去します。
必要に応じて造形物の表面を磨きあげ、完成となります。
図9.サポート除去の様子

⑩ 未焼結粉末の再利用

造形時に充填していた材料粉末は再利用が可能です。未焼結粉末はIPCMを使い、粉末を回収します。その後、廃棄になるスパッタなどを取り除くために材料をふるいにかけて、分別された再利用可能な材料は次の造形用に保管します。
(IPCM=材料搬送モジュール、シーブモジュールといった材料をリサイクルするために必要なEOS製の材料リサイクルシステムの総称)
図10.材料搬送モジュール
図11.シーブモジュール
今回は、金属積層造形のデータ作成から仕上げまでの流れをご紹介しました。
周辺機器に関する記事も掲載していますので、以下の記事もぜひご覧ください。
参考記事:金属3Dプリンターの稼働に必要な周辺機器
お客様のAMに関する検討から導入後の運用まで安心していただけるサポート体制をご用意しております。ぜひ当社までお気軽にお問い合わせください。

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