2023年4月30日に「2023@GoodOldays」が開催されました。
イベントには、金属3Dプリンター EOS M 290で造形したパーツを実装させたレジェンドバイク、CR110もエントリー。
雑誌『モトメカニック』の編集長 田口勝己様がGoodOldays2023当日の様子をリポートします。
(3Dプリンターでのパーツ製作の裏側の記事はこちら)
GoodOldays / グッドオールデイズとは!?
ツインリンクもてぎ(現モビリティリゾートもてぎ)で、2008年度から始まったクラシックモーターサイクルレーシングのイベント名称が「GoodOldays/グッドオールデイズ」。国内外バイクメーカーを問わず、ビンテージやクラッシックと呼ばれる1950年代から1972年までに製造されたレーシングモーターサイクルが復元保存され、もてぎのコースに集まり、「旧き良き時代のモーターサイクルレースシーンを現代に語り継ぐ」のを目的としているのがグッドオールデイズの主旨です。特に、希少なレーシングマシンや個人所有のワークスマシンもエントリーし、もてぎの国際レーシングコースを全開走行!! そのレーシングサウンドを楽しむことができるのも、グッドオールデイズの大きな魅力となっております。
コロナ禍によりイベントの中止、また、イベント格式から動態確認走行会として開催されてきたここ数年でしたが、2023年度はイベント格式として4年振りに復活。しかし、イベント当日は降雨に見舞われ、たいへん残念な2023年度開催となりました。それでも現場に居合わせた来場者は、エンジンへの火入れ音出しを目の当たりにし、往年のレーシングサウンド酔い知れている場面もありました。
私、田口とGoodOldays
2008年度、第一回開催からエントリーしてきました。当時は、ドゥカティ750の市販車にレーシングキットパーツを組み込んだフォーミュラー仕様のDUCATI F750 IMOLA耐久仕様でエントリーしておりました。近年は、HONDA CS90という市販ロードバイク(1964年製)に、当時のレーシングキットパーツやHONDA RSC(現ホンダHRC)製パーツを組み込んだベンリーレーシングCS90RSC仕様を鋭意製作中。完成したらサーキットランを楽しみたいと考えております。
2008年の第1回GoodOldaysからしばらくは、ドゥカティ750にレーシ
ングキットパーツを組み込んだ、F750ワークス耐久仕様車でエントリー
していました。イタリア取材の都度、レーシングキットパーツやワーク
スパーツを探して購入し、マシンが完成するまでの部品集めに10年を費
やしました。現在はオランダ人コレクターがクラシック走行会で楽しん
でいるようです。
2023@GoodOldays リポート
カブレーシングCR110に3Dプリンター製のアルミシリンダーを組み込み、最初に走行したのは2018年のグッドオールデイズだった。あれから早5年も経過したが、今年2023年1月のオートサロン2023では、ザムテクノロジーズ社の出展ブースにこのカブレーシングCR110を展示。数多くの見学者はもちろん、コンストラクターにも注目されたのがCR110だった。それは3Dプリンター技術の将来性に期待するユーザーが多いという現実だった。開発スタッフが語る「3Dプリンター技術は、もはやプロトタイプの開発や少量&小ロット製造のためだけの技術ではありません」の言葉からの将来性を、数多くの方々が妄想したに違いない。
そんなオートサロン2023での反響を、より具体的にご覧いただければと考え、2023@ GoodOldaysに展示。幕張メッセではご披露できなかったエンジン始動と走行する姿をご覧いただき、そのサウンドをご体感頂ければと考えた。しかし、当日は残念ながら雨天で、コース路面は終日ウエットコンディションだった。それでもピットにいらっしゃった見学者のみなさんには、火入れ&音出しをご披露し、3Dプリンター製シリンダーを搭載したカブレーシングCR110のメガホンサウンドをご披露することができた。
また、2023@ GoodOldaysへの車両展示が決まったことから、ザムテクノロジーズ開発スタッフさんから「新しい参考出品を作りましょうか!?」とご提案を頂き、ホンダCB125RSC用のキットパーツ「ツインパネル式ドラムブレーキ」の寸法確認用樹脂製部品を造形、そして展示することができた。レーシングユーザーにとっては、おおいに気になるレーシングパーツの復刻イメージだったに違いない。次の機会に、仮にお声を掛けて頂けたとしたら、是非、カブレーシングCR110の「シリンダーヘッド」を造形したいですよね!? そんなものが本当に造形できて走れたとしたら、そりゃもう世界的に特大ニュースになりますからね。個人的には、初期シリーズのホンダスーパーカブC100のオーナーでもありますので、なかなか入手できないパーツを復刻造形できたなら、それはそれで素晴らしいことだと思います。 いずれにしても、まだまだ「未来への扉」をノックしたに過ぎません。これから先、ドアの向こうにいらっしゃるXAMエンジニアの皆様方と、意義あるもの作りを展開できたとしたら…… などと、妄想で頭の中はいっぱいです。
日本国内にも1960年代当時に大活躍した各メーカー製ワークスマシンを所有するユーザーがいる。2023@GoodOldaysのテーマクラスが50ccレーシングということで、2ストローク50cc2気筒のワークスマシン「日本の技術遺産であり至宝」の展示も行われた。
手前から1966年型スズキRK66、
1966年型ブリヂストンEJR-3 ブリヂストンEJR-2
日本のロードレース黎明期からホンダとヤマハはライバルだった。国産車初のスーパースポーツモデルとして登場したヤマハYDS-1にレーシングキットパーツを装着した1台。これぞヤマハロードレーシングのルーツ的なモデルだ。この市販車が発展し、ヤマハTD/TRシリーズ、TZシリーズへと進化していった。
2ストロークレーシング全盛時代に唯一の4ストロークメーカーとして
果敢に挑んでいたのが当時のホンダだった。CS90ベースのCS90RSC、
CB125ベースのCB125RSCもエントリーしたが、天候が悪く思い切り
走れないコンディションだった。
日本製ロードレーシングばかりではなく、日本のバイクメーカーが隆盛を極めた以前は英国やイタリアのオートバイメーカーが世界グランプリシーンを席巻した。ノートンマンクスもそんな1台。ブリティッシュツインモデルをベースにしたレーシングマシンも、世界的に人気が高い。
1966年の世界グランプリシーンではホンダが大活躍した。350ccクラスで数多くの優勝を飾ったのがRC173とRC174。シーズン後半に入るまで4気筒のRC173が大活躍。シリーズ終盤に投入されたのが6気筒エンジンのRC174だった。このモデルは世界に2台しかない個人所有車のRC173。紛れもないワークスマシンである。4本メガホンのサウンドは素晴らしい!!
廃版部品もデジタルデータ化することで、いつでも動態保存できる品質でパーツの製造が可能であり、 3Dプリンターの技術はレジェンドバイクを次世代に遺すことに貢献しています。
関連情報:
モトメカニックの公式ホームページ
過去のニュース:金属3Dプリンターを使ったレストアについて
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