国内最高峰のドリフト競技であるD1グランプリに参戦するSHIBATA DRIFT RACING TEAM(柴田自動車株式会社)様が、
ドリフト車の開発にAM技術(Additive Manufacturing技術=3Dプリンティング技術)を活用しています。
XAMとの開発について柴田社長へのインタビュー形式でご紹介します。
以下、3Dプリンティング技術のことを、「AM技術」と記載。
なぜドリフトカーのパーツを3Dプリンターで製造しようと思ったのですか?
普段は、市販で売っている車をドリフトできるように改造しています。
普通の車と違って、ドリフト車はフロントタイヤのハンドルが物凄く切れるようになっています。
ドリフトは角度をつけて走るため、ハンドルがいっぱい切れないとスピンしてしまうので、タイヤの角度が切れる設計になっています。
また、ドリフトをするためにはパワーも必要です。普通の車が200~300馬力のところ、この車は1200馬力まで上げています。
パワーを出す車を作るには、世の中にない部品が沢山必要となります。
こんな部品があったらもっとパワーが出せるなとか、こんな部品があれば戦闘力が上がるなといった世の中に売っていない部品、
そういう特注の部品を作りたいなと思っていました。
当然我々では作れないため、XAMさんにお願いして作ってもらっています。
XAMに依頼する前はどのようにしていましたか?
そうですね。ちょっと前までは、どこかのメーカーが作っている部品を買ってきて、それを組み合わせてチューニングをしていました。
だけど、それだと他のチームと変わらなくなってしまう。
もっとパワーを出したいとか、もっと凄い車を作りたいとなると、それを叶える部品が世の中に売っていないので、
自分たちの頭の中でイメージしたものをCADで作り、デジタルデータでチューニングする時代に自ら飛び込んでいったんです。
そこで初めて3Dプリンターというものを使い、今まで手に入れられなかったような部品を作り出すという新しい時代に自分たちだけが行ってしまったような感じです。
自分たちが今日本でトップクラスで走れているのは、AM技術があるからだと思っています。
XAMを知る前から3Dプリンターには興味がありましたか?
そうですね。もともとは、たまたま見ていたテレビで3Dプリンターの存在を知りました。
宇宙ステーションの中に3Dプリンターがあって、欲しい部品があった時に地球からデータを送って宇宙ステーションの中でモノを作るという内容でした。
それを見たときに、この技術があれば何でも作れるじゃん!と思ったんですね。
車の部品だったり古い車の廃番になった部品はもちろん、弊社はラジコンメーカーでもあるので、
ラジコンの試作を3Dプリンターで作れたら開発コストも当然下がるし、いろんな実験もできる。
もともとは試作部品を作るというのに3Dプリンターって物凄く適しているなと思っていました。
それで実際に樹脂の3Dプリンター(光造形)を買って物を作ったりしていたのですが、実際の形を見ることはできても、割れてしまうので実用化はできない。
それで金属の3Dプリンターがあったらいいのになというのをずっと思っていて、それを私のブログで書いたら、XAMさんからメールが来たんです。
うち、できますよって。
そんなことできるんですか?!すぐ会いましょう!となったのが、金属3Dプリンターとの出会いです。
XAMの第一印象はどうでしたか?
最初に連絡があったとき、NTTデータって書いてあったので、NTTデータ??となりましたね。
NTTデータって通信系の会社だと思っていたので、最初はちょっとよくわからなかった。
実際にお会いして話をしたら、それはもうすごいテクノロジーで。
金属でこんなことができるの?!というのを教えて頂いて。
これができるということは、あれができるな、これもできるなって、色々ひらめきが出てきまして、
こんなことできますか?あんなことできますか?って聞けば「あ、できますよ!」と。
うわ~、これはヤバいな。っていうのが第一印象でした。
XAMの開発チームの対応は柔軟でしたか?
もう柔軟どころか、すごく色々教えて頂ける。
もっと雲の上の人たちみたいな存在だと思っていましたが、物凄く親しみやすくて、何でも聞いてくれて・・・
一緒にモノを作っていくというところで同じ目線でやってもらえた。
自分たちが疑問に思っていることも全部教えてくれたので、すごいなと思いました。
熱く語ると言うんですかね。こんなことがしたいんだ、あんなことがしたいんだっていう熱い想いに、全部応えてもらえる。
同じ熱意、同じパッションで話ができるので、すごく楽しくモノづくりができています。
実際にできた製品を見たときはどう思いましたか?
一番最初に作った部品が、車の錆びたパネルでした。(参考:R31スカイラインのインナーパネルに金属3Dプリンターを適用)
それが、出来たものがめちゃくちゃ硬くて・・・3Dプリンターのイメージって、作ったものがすぐ壊れるとか、
すぐ変形しちゃう、破壊されちゃうというイメージだったんです。
実際はものすごく硬くて、逆に硬すぎて最初は使えなかった。強度はそのままでもうちょっと柔らかくしてってお願いしましたね。
一番最初に出来上がったものを見たときのあの衝撃は、まず硬い、強い、すごい、というものでした。
そこで3Dプリンターの概念が変わりましたね。
3Dプリンターでパーツを作る時代が来るというのは想像していましたか?
全く想像していませんでしたね。そもそも3Dプリンターが世の中になかったので。
どこかのメーカーが作っているパーツを買ってきて車を作っていくというのが当たり前の時代に、
自分たちがイメージしたものが何でも形になるというのは話が全然違うので。
こうなると、イマジネーションと言いますか、イメージできた人の方がすごい車が作れるわけです。
やりたいことに限界はないので、あれがやりたい!これがやりたい!というのをXAMさんに伝えると、
「できますよ!」となるので・・・これを続けていくと一体どんな車が出来てしまうのかと思っています。
ほとんどの人が、金属3Dプリンターの凄さを知らないと思います。
触れる機会もないですよね。
この3Dプリンターの凄さ、AM技術の凄さを世の中の人がもっと知れば、みんなやりたがると思う。
だから本当はあまり言いたくないんです!俺たちだけの技術にしたい。
皆が知っちゃうと、皆もどんどんすごくなっていくので、言いたいけど言いたくない・・・でも知ってほしい。そんな感じです。
XAMの開発チームの印象はどうでしたか?
もっとお高くとまってるというイメージだったんですが、実際に現場でモノづくりを一緒にやっていくと、物凄い熱くて。
自分たちも情熱もって、こうやって作りたいんだ!ああやって作りたいんだ!こんなの欲しいんだ!って言うんですけど、それに対してやっぱりすごい熱で接してもらえる。
あー、同じ温度感だな。この人たちとなら良いもの作れるな・・・いや、この人たちと一緒に作りたいんだっていう、
そういう思いにさせて頂ける開発チームのメンバーの皆さんですね。
モノづくりですけど、やっぱり人が作るので。
情熱というか、こういうのが作りたいっていう熱い想いがないと良い製品ってできないと思うので。
そういうのが物凄い高い次元で一緒に取り組めているなという風に思います。
絶対良いものができるなって思えるので、レース用の部品を作ってレースで勝ったり、古い車を再生する部品を作ったりしています。
世の中の古くなって壊れちゃった車をピカピカにしたりとかは、この技術があって成り立つ。そう思っています。
関連記事 – 雑誌への記事掲載のお知らせ(金属3Dプリンターを使ったレストアについて)
– 新聞への記事掲載のお知らせ(金属3Dプリンターを使ったレストアについて)
3Dプリンターは、設計の自由度を大幅に拡大することや、試行期間を大幅に短縮することができる技術です。
大きな可能性を持ったこの3Dプリンター技術が、「モノづくりのあたりまえ」になっていく世界を実現するために、
私たちNTTデータ ザムテクノロジーズは絶えず挑戦し続けていきます。
(株)NTTデータ ザムテクノロジーズでは、
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