作業の様子

製品活用事例CASE STUDY

2025.02.17

MAXONIQ 様

カスタムメイドの骨膜下インプラントを金属3Dプリンターで製造

Source: MAXONIQ (旧: OMX SOLUTION)

Short Summary

課題:

  • 患者一人ひとりに合わせたカスタムメイドのインプラントを従来の製法で製造すると、材料廃棄量が非常に多く、大規模でコストのかかる後処理が必要となり、製造リードタイムが長い

解決方法:

  • EOS M 290を使用し、Ti64材でカスタムメイドの骨膜下インプラントを製造

結果:

  • 未溶融粉末材料の90%が再利用可能
  • 製造リードタイムが50%短縮
  • 手術時間が短縮
  • 患者の回復スピードが向上

本記事は、EOS社の活用事例を和訳したものです。

AM技術で医療業界に革新をもたらす

頭蓋顎顔面外科に特化したカスタムメイドのインプラントを設計・製造するMAXONIQ社は、OsseoFrameと呼ばれる患者1人ひとりにフィットする骨膜下インプラントで、医療業界に革新をもたらしています。

OsseoFrameは、汎用性が高く装着が容易な歯科補綴リハビリテーション用ソリューションであり、優れた精度と信頼性を兼ね備えた医療機器です。歯科インプラントを支えるのに十分な歯槽骨がない患者にも、痛みを伴わない歯本来の「機能」と「審美性」を回復させることができ、最終的には患者の生活の質を向上させることもできます。

そんなOsseoFrameは、患者それぞれの形状や大きさ、材質などからカスタマイズ設計を行います。そのため、従来の製造方法ではいくつかの課題がありました。

課題

患者1人ひとりに最適化した医療機器は、機械加工や鋳造でも製造できますが、材料廃棄量がかなり多くなります。また、大規模でコストのかかる後処理が必要となり、製造リードタイムも長くなってしまうことが課題となっていました。

解決策(ソリューション)

MAXONIQ社は新たな製造手法として、金属3Dプリンター EOS M 290の導入を決めました。

インプラント治療における複雑な適応症に対応するため、AM技術の活用を通じてユニークで唯一無二の医療機器の提供を目指しました。

MAXONIQ社は製造パートナーであるBresMedical社の協力のもと、EOS M 290の活用を開始。

BresMedical社は、ISO 13485への準拠という点でMAXONIQ社の求める品質基準を満たしていました。

使用したシステム・材料

3Dプリンター:EOS M 290

材料     :EOS Titanium Ti64(チタン合金)

結果

AM技術を適用したことで、外科医や補綴歯科医など、作業に関わる全ての専門家の時間を最小限に抑え、設計プロセスと補綴物の合理化を実現しました。

Source: MAXONIQ (旧: OMX SOLUTION)

材料廃棄量の削減

従来のプロセスでは材料の廃棄が多いことが課題となっていましたが、EOSの金属3Dプリンターでは未溶融粉末の90%が再利用できるため、原材料の消費を最小限に抑えることができました。

製造リードタイムの短縮(-50%)

従来の製法ではインプラントの入手に4~6週間かかっていましたが、3Dプリンティングでは2倍速い2~3週間で入手することができるようになりました。

また、3Dプリンティングでは少量から製造できるため、1注文当たりのコストを低く抑えることもできます。

手術時間の短縮

カスタムメイドの骨膜下インプラントは、顎の骨が十分でなくインプラントを支えられない患者に理想的で、オンレーグラフト(骨移植)、バリアメンブレン、サイナスリフト手術(上顎洞底挙上術)、ザイゴマインプラント(頬骨インプラント)などの複雑な補助処置を回避し、歯のリハビリテーションプロセス全体を簡素化します。

その結果、一回の手術(60分以内)で歯の装着まで完了させることができ、患者がその日のうちに「機能する歯」で帰宅することができるようになりました。

患者の回復スピードの向上(-9週間)

AM技術を活用したOsseoFrameでは、患者の回復に必要となる期間は2~4週間。これは従来よりも9週間短縮していることになります。

従来の方法ではオッセオインテグレーションに少なくとも3か月、歯を装着する前に骨移植が必要な場合は更に6か月かかり、別途手術が必要でした。

Source: MAXONIQ (旧: OMX SOLUTION)

「アディティブ・マニュファクチャリングのような革新的で費用対効果の高い技術は、製造プロセスを含めた医療の限界を押し広げ、患者の治療結果を改善し、コスト削減を続けるでしょう。」

“Disruptive, cost-effective technologies such as additive manufacturing will continue to push the boundaries in healthcare including manufacturing itself, improving patient outcomes and reducing costs.”

Mick Shaddock, Managing Director of MAXONIQ

「カスタムメイドの3Dプリント製品は、無歯顎患者の治療に革命をもたらす可能性があります。新しいアディティブ・マニュファクチャリング技術は、生活の質と口腔手術の簡便性の両方を向上させることができます。3Dプリンティングの進展は、医療機器の製造に全く新しいアプローチをもたらし、患者と医療システムの双方にとって大きな利点となるでしょう。」

“Custom-made 3D printed products have the ability to revolutionize the treatment of edentulous patients. New additive manufacturing technology can improve both quality of life and the simplicity of oral surgery. The world of 3D printing is creating a whole new approach to manufacturing medical devices – it’s a win for patients and for the healthcare system.“

Dr George Dimitroulis, Oral and Maxillofacial Surgeon, Clinical Director and Founder MAXONIQ

MAXONIQ社は、従来製法にとらわれず、アディティブ・マニュファクチャリングという新たな技術を活用することで、患者1人ひとりにフィットするカスタムメイドの医療機器をコスト効率よく製造することができるようになりました。

この技術は患者の生活の質を向上させるだけでなく、医療システム全体に利益をもたらしています。

製品紹介

EOS M 290

2014年の発売以来、2,000台以上の設置実績がある
金属粉末積層造形機の世界トップシェアモデル

EOSの金属3Dプリンターのスタンダードモデルであり、ベストセラー機。優れたガスフローと先進的なレーザー照射ロジックによる安定したプロセスを確立したことで、高い再現性と均一性を実現したシステムです。

EOS M 290は多くのユーザー様に選ばれ、2021年度のEnterprise 3D Printer of the Year (Metals) Awardを受賞しています。

Source: EOS

企業情報

MAXONIQ

2016年の設立以来、CAD-CAM技術を活用した患者ごとのカスタムメイドの医療機器を迅速に提供。特に口腔および顎顔面の複雑な適応症に対応するシンプルなソリューションを設計している。

maxoniq.com

BresMedical

医療研究開発に特化し、選択的レーザー焼結(SLS)および直接金属レーザー焼結(DMLS)技術を含む先進的な製造方法を使用している。2016年にはISO13485の認証を取得。

bresmedical.com


(株)NTTデータ ザムテクノロジーズでは、

3Dプリンター、用途開発、受託製造、金属材料開発など、

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  • 会社情報​ABOUT US

    VISION:AMをものづくりのあたりまえに
    MISSION:AMの実践者であり先導者として、産業化されたAMプロセスを実現する

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    AM装置の販売からメンテナンス、受託生産、ソリューション開発に至るまで、
    AMに関するさまざまな事業を展開しています。