
金属積層造形のパウダーベッド検査
金属積層造形は製造プロセスにより品質保証を行う「特殊工程」に該当します。
検査部門では、造形中の品質を確認するために、パウダーベッド(Powder Bed)検査という検査を実施しています。
EOSの金属造形機は、レーザー照射後とリコーティング(粉敷)後のそれぞれの静止画が、レイヤーごとに自動保存されるようになっています。
1層あたりは大体30~60μになっていますから、多い時では1JOBで10,000レイヤー以上の静止画を検査員が検査しています。
非常に集中力を必要とする検査ですが、重要な検査です。


では何を見ているかというと、主にリコーティング時のパウダーショート*を観ています。
(*均一に粉末が敷き詰められず、照射個所に十分な粉末がない状態のこと。)
それら以外にも、リコーターが照射面にぶつかってジャンプしていないかや、
サポート構造が浮いていないかなど、造形時に起こる形状変異が発生していないかを観ています。
これらの合否判定は非常に難しく、実際に造形が終わって形状を確認したりするなどして、総合評価を必要とします。
AIを利用した検査
このパウダーベッド検査は人間にとって非常に難しい検査となっていて、100%確実に検査ができるかというとなかなか難しいです。
もちろん、時間と人を掛ければ100%に限りなく近づけられますが、
お客様との約束納期までの限られた時間内という観点からするとリスクが大きいです。
昨年より、弊社ではAIを導入した検証検査が始まりました。
もちろん最初から人間の代わりにはならないのですが、画像検査によって不具合疑いのあるレイヤーを自動的に検査して検出してくれる機能です。
ティーチングなどをしてAIの検査の確かさを上げ、近い将来はAIで検査した結果を検査員が判定する日が来るだろうと考えています。
また、この技術が進んでいけばカメラを通じて計測値を自動的に読み込んで合否判定したりもできるようになり、
デジタルな検査が普及することを期待しています。