3Dプリンターにはいくつかの造形方式があり、当社が取り扱っているEOS社・AMCM社の金属3DプリンターはLPBF方式(Laser Powder Bed Fusion:粉末床溶融結合法) です。これは粉末状の材料に高出力レーザーを照射して溶融する工程をくり返し行うことで造形しています。今回は、3Dプリンターを導入されたお客様が安心してご活用いただくために、当社が提供している導入後のサポート体制の一つ、金属3Dプリンターの定期点検についてご紹介いたします。 定期点検作業は6ヶ月点検と12ヶ月点検の年2回実施しており、EOS社・AMCM社の認定を受けた専任エンジニアが対応しています。点検内容は機構系、光学系、環境・制御系に分かれており、各機能の動作確認・調整を行います。また、ユーザーが手の届かない箇所の清掃や、稼働によって劣化する部品の交換作業も定期点検時に実施しています。次にそれぞれのメンテナンス項目についてご紹介いたします。
機構系の主なメンテナンス項目
・X軸、Z軸の点検、調整 ・コンポーネントの点検
機構系では、粉末材料を薄く敷くリコーティングシステムのX軸部分、材料供給システムやビルディングプラットフォーム、コレクタープラットフォームのZ軸部分の点検や、調整を行っています。また、機構系コンポーネントに含まれる部品の摩耗状況の確認のほか、ヒーター制御回路や温度調整機能等の点検を行っています。
光学系の主なメンテナンス項目
・レーザー経路の清掃、確認 ・レーザーパワーの計測、調整 ・フォーカス位置の確認、調整 ・レーザー照射位置の校正 ・スキャナミラーの制御機能の点検
光学系では、レーザーに関連する点検を行っています。 作成したデータ通りに造形ができるように照射位置精度の校正、レーザーのフォーカスやパワーの確認と調整を実施しています。
環境・制御系の主なメンテナンス項目
・制御盤の電気系統の点検、配線接続の点検 ・フィルターシステムの点検 ・各センサーの電圧の確認、校正 ・不活性ガス(アルゴンまたは窒素)の供給システムの点検、調整 ・3Dプリンターの気密性の確認 ・冷却システムや粉末材料回収システムなど、付帯設備の点検、整備
環境・制御系では機構系・光学系以外のメンテナンスを実施しています。 高品質な造形を行うには、酸素濃度などの造形中の環境や、冷却機能などのシステム制御が適切であるかが重要となります。EOSが誇る高品質な造形が再現できるよう、各種点検と調整を実施しています。ここで挙げた内容は一部ではありますが、これらの点検項目を実施して最終確認のためにテスト造形を行っています。 定期的にメンテナンスを行うことでリスクを回避し、お客様に3Dプリンターを長くご利用いただけるよう、当社ではサポート体制を整えております。