Gyroid(ジャイロイド)形状を適用した軽量化設計
みなさま、こんにちは。開発部の川浦です。
この度(株)IHIエアロスペース様向けのAM技術デモとして、衛星推進モジュールのフレーム軽量化設計をnTopologyで行いましたので、
どのような作業を行ったのかご紹介したいと思います。
この事例ではnTopologyの以下のような優れた機能を活用しております。
- 複雑なモデルでも破綻のないブーリアン演算
- Gyroidに代表されるTPMS(三重周期極小曲面)構造の大量生成
ご参考になれば幸いです。
CADモデルの準備
まずは頂いた原型モデルから2つの派生モデルを作成しました。
nTopologyでインプリシットモデルとして原型から加工することも可能ですが、CADツールで作成した方が効率的だった為ここでは使用していません。
設計領域の抽出
②と③のモデルをインポートしインプリシットモデルに変換した後、Boolean Subtractブロックで差分を取ります。
これにより抽出された部位を設計領域とし、Gyroid形状を適用していきます。
Gyroidの適用…の前に
(※Version3.26よりこの作業は必要なくなりました)
この領域すべてをWalled TPMSブロックで一度にGyroid化することはできますが、同じ原点を基準としたGyroidを飛び飛びの領域に適用することになるため、位相がズレた形状が表れてしまいます。
これは造形上の支障にもなりますし、何より見た目が美しくありません。
そこで今回は設計領域を複数のグループに分け、それぞれにGyroidの基準座標を設定しました。
設計領域の細分化
抽出した設計領域をMesh from Implicit Bodyですべてメッシュに変換した後、Split Meshを実行します。
これにより繋がっていないメッシュがそれぞれ個別のメッシュとして認識され、リスト化されます。
このリストごとImplicit Body from Meshで再びインプリシットモデルに変換すると、設計領域も同じように細分・リスト化されます。
設計領域のグループ化
ここは少し地道な作業です。細分化された設計領域(今回は全55個)を手動でグループ分けします。
グループ分けの基準は「同じ平面上にあるかどうか」です。結果は画像をご覧ください。
紛らわしいですがGroupブロックを使うわけではなく、セクションで分割していくだけです。
分け終えたらそれぞれのグループごとに、Boolean Unionで1つにまとめた設計領域を作成します。
各グループ領域へのGyroid適用
βブロックのPeriodic Lattice Bodyを使用します。
セルマップのボリュームに前項のグループ化された設計領域、ユニットセルにGyroidを指定します。
ここで大事なのはセルマップのフレーム中心座標に、グループ設計領域の中心座標を参照させることです。
これによりGyroidの基準座標をそれぞれのグループごとに設定することができます。
あとはBoolean Intersectにより設計領域で切り抜けば、そのグループのGyroidが出来上がります。
これを繰り返し、各グループの設計領域にGyroidを適用していきます。
完成
最後にCADモデル③とすべての設計領域のGyroidをBoolean Unionで統合すれば完成です。
いかがでしたか?
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