当社ではEOSの3Dプリンターの導入後も安心してご利用いただけるように定期点検を実施しております。
今回は金属3Dプリンターの定期点検のなかで、光学系のレーザーフォーカス調整の重要性についてご紹介します。
EOS M 290 (Source: EOS)
レーザーフォーカス
レーザーフォーカスの確認は、造形に必要なレーザーのエネルギー密度を確保するために非常に重要な項目です。カメラのピント調整を思い浮かべてください。ピントがズレていると被写体はぼやけてしまい、ピントが合うと被写体はくっきりと見えます。3Dプリンターのレーザーも、カメラのピントを合わせるときと同じような確認を行っています。
フォーカスにズレがあると、造形面に照射されるレーザーの直径が大きくなりエネルギーが分散されてしまいます。その結果、造形に必要なエネルギーが不足し、造形物の密度が低下するなどの造形不良につながる可能性があります。
Z-Shift
定期点検では、高出力と低出力の2種類のレーザー出力値で照射されるフォーカス位置を測定し、その2つの差がEOS社の基準に適合しているかの確認を行っています。この差をZ-Shiftと定義しており、レーザーの経路上にある光学系レンズの膨張率を考慮した基準が設けられています。たとえば高出力の場合には、レーザー経路上にある光学系レンズの膨張度合が大きくなり集光点の位置は高くなります。逆に低出力の場合には膨張度合が小さく集光点の位置は高出力の場合よりも低くなります。
この基準を満たしていない場合、造形中に想定以上のフォーカスのズレが生じてしまい、造形不良につながってしまう可能性が高くなります。
確認・調整作業
定期点検では、レーザーを金属プレートに照射して目視確認を行い、必要に応じてフォーカスの調整をします。フォーカスの確認及び調整をした後、専用の計測機器を用いて調整結果のデータを取得し、Z-shiftの確認を行います。ここでZ-Shiftが基準値内ではない場合は、光学系の部品が正常ではない可能性がありますので、別途調査を行い部品交換などの対応をしています。
以上のように、3Dプリンターの本来の能力を発揮するためにもレーザーフォーカスが正常値であることはとても重要です。そのため当社ではEOS社で定められたタイミングでレーザーフォーカスの調整作業を実施しています。また、今回ご紹介した内容は定期点検時だけでなく、オプションメニューとしてもご提供させていただいております。たとえば品質管理のためにフォーカスをこまめに確認したい、あるいはレンズが曇ることで生じるフォーカス機能の低下が心配、といったご相談もお任せください。
当社ではユーザー様専用のポータルサイトを完備し、充実したサービスやサポート体制を整えておりますので、ご興味のある方はぜひお問い合わせください。