今回は、金属積層造形機(金属3Dプリンター)におけるビードについてお話したいと思います。
ビードとは、1回のパスによって作られたレーザーで粉末を溶融凝固させた金属のことです。金属積層造形機はビードの集合体で形状を作成していきます。有名な話ですが、30mmの立方体(体積27cm3)を造形するための総溶接距離は約9kmのビードで作り上げています。
ビードはレーザー出力、走査スピードと積層厚によって形が異なります。 下の写真は、レーザー出力と積層厚は同じ条件設定とし、走査速度を変化させたときのビードの形の違いを表しています。
写真から、走査速度Aは綺麗な1本の線になっていますが、走査速度Bの方は途中で細くなっている箇所があります。
これは溶接業界でハンピングと言われている現象で、溶融池が深くなりすぎて溶解された金属が進行方向より後ろ側に追い出されたときに発生する現象です。もちろん溶接とは若干異なりますが、基本的には均一なビードを得るには、レーザー出力、走査スピード、積層厚を適切な条件に合わせることが必要です。
では、この綺麗な1本のビードの条件で緻密体を得ることができるかというと、それは違います。 金属積層造形はビードの集合体であり、ビードを2、3、4・・・・・と隣接させるため、 ビードとビードの間隔も考慮すべき重要なパラメータになります。