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AM四方山話 #15 粉末材料の危険性

2022/02/14

アプリケーション開発・受託製造 技術コラム

>>前回のお話『#14 品質保証』はこちら

粉末の取り扱い

 パウダー・ベッド・ヒュージョン(PBF)方式の3Dプリンターは粉末材料を扱うので、当然、安全な運用に気を付ける必要があります。

もう20年以上も前の話になりますが、EOSINT P(ポリマー造形)のユーザー様から「(体の)傷口から白い粉末が出てきたやないか!!」という冗談ではなく本気のお叱りを受けたことがあります。さすがに、実際にはそんなことはあり得ません。ですが、粉末を取扱う以上、火災、爆発、健康に対する危害を防止するための注意喚起が必要となります。

 特に金属の中には有害な成分を含むものや強い酸化反応(= 燃焼現象)を示すものがあるため、自分たちが使っている粉末材料がどのような性質なのか十分に注意して正しい取り扱いをする必要があります。

火災の危険性に関しては金属粉末が『消防法の第二類-可燃性固体-金属粉末に該当するか否か?』の判定が必要ですが、

現在弊社が販売している金属材料すべてが小炎着火試験の結果、「第二類の危険物に該当しない」 という認定を頂いております。

したがって金属材料自体が自然発火するという危険性は無いといえますが、空気中に吹き上がった場合の発火・爆発の危険性が無くなる訳ではありません。

これについては粉塵爆発危険性試験を行っています。 結果は、例えばアルミニウムの場合「発火・爆発する粉体ではあるが爆発性の評価レベルは低、静電気による着火・爆発の危険性ランクは高、爆発の激しさは弱い粉塵である」というものです。粉塵が空気中に吹き上がる状況というのは掃除機で粉末を吸い込む場合が考えられますが、その場合は必ずEOSが提供する防爆タイプの掃除機(湿式セパレータ)を使用し、確実なアース接続が必要となります。

爆発性は材料の種類以外に、粉末の粒度分布にも大きな影響を受けるので、自社で作った金属粉末を扱う場合は十分な予備調査が必要です。

ヒューム

 

材料のほかに発火・爆発の危険性を持つものに造形時に発生するヒューム(粉末にレーザーが照射されたときに発生する煙のようなもの)があります。

ヒュームの成分って何ですか? という質問をよく頂いたことがありますが、成分は使っている材料粉末と同じです。但し粉末粒子に比べて体積は格段に小さく体積に対する表面積は大きなものとなっています。すなわち非常に発火・爆発のしやすい物質です。

ヒュームはアルゴンや窒素の不活性雰囲気の中でフィルターまで運ばれるため造形チャンバーにはほとんど残りませんが、フィルター交換の際には発火に対する最新の注意が必要です。 必ず、弊社が行うトレーニング通りの措置をお願いします。

健康に関する危険性については、材料と一緒に提供される「材料安全データシート(SDS:Safety Data Sheet)に遵守すべき法令と一緒に詳細が記載されていますので、是非一読をお願いいします。

次回、『AMを実現するには』>>>こちら


著者紹介

前田 寿彦/ Toshihiko MAEDA




略歴

1952年 大阪生まれ

1977年 大阪府立大学大学院工学研究科船舶工学 修士課程修了

1978年 日立造船情報システム(株)入社

1991年 海外事業部部長

1993年 独EOS社と積層造形装置の日本国内における独占販売契約締結。

     以後、EOS社の積層造形装置の事業推進に従事し、現在に至る。

2021年 2月1日現在

    (株)NTTデータ ザムテクノロジーズ ソリューション統括部 技術部

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