レーザーパウダーベッドフュージョン方式(LPBF方式/粉末床溶融結合法)のプロセスに欠かせない、重要なパラメータとしてレーザーパワー、スキャンスピード、ビーム間隔等が一般的に知られていると思います。造形機をお持ちの方は理解できると思いますが、それに匹敵する重要なパラメータとして不活性ガスを造形庫内に循環させているフロー(不活性ガスフロー)が挙げられます。これは、造形中に発生するヒューム(金属蒸気)を回収するために必要不可欠なプロセスになります。
ヒュームを回収しなければいけない理由は大きく2つあります。 1つ目の理由として、 レーザーは光ですので、レーザー進行方向にヒュームが存在すると光が乱反射してしまい、本来のエネルギーが粉末に届かなくなります。 2つ目の理由として、 ヒュームを回収しないと、ヒュームは上昇気流により光学系のレンズに付着します。 これにより、レーザーのフォーカスにズレが生じ、これも本来のエネルギーの伝達を妨げる要因となります。 以上の理由から造形チャンバー内のガスフローはプロセスを安定化させるために非常に重要になります。