なぜEOSを選んだのか?
3次元CAD/CAMのアウトプット先の一つとして、3Dプリンタ(=当時はラピッドプロトタイプ装置)を探せというのはトップダウンの指示でした。当時は欧米、国内そんなに多くのメーカーがあったわけでもなく、カタログや記事、展示会での調査の結果、最終候補には米国の3D Systems、イスラエルのCubital、それにドイツのEOSが残りました。
3D SystemsとEOSはいわゆる紫外線硬化樹脂をレーザーの光で固める光造形システム。Cubitalは大きな複写機のようなもので面全体をバシャッ、バシャッと硬化させるタイプでとにかく大掛かりな装置でした。Cubitalはメンテナンスが大変そうで、まず脱落。3D SystemsとEOSは実際にパーツを造形させてもらっての評価となりました。
評価に使った形状はPCに使うマウスのボデー。その結果、何のトラブルもなく一発で造形に成功したEOSに決定した次第です。このように取り扱う機種をEOSにきめたものの、当時は現在扱っているような粉末を溶融するタイプではなく、光造形を念頭においたものだったわけです。
EOSとはどういう会社か?
EOSはDr. Hans J. Langerが1989年に設立した会社です。もともとはレーザースキャナの会社であるGeneral Scanningで、ヨーロッパでの事業企画に関する仕事をしていました。その技術を生かして3Dプリンタ(=当時のラピッドプロトタイプ装置)の新規事業を提案したものの、会社に却下され、それでは、、ということで自分で起こした会社がEOSです。Langerさんは私と同い年なので、37歳のときですね。
そのころBMWが3D Systemsの光造形のユーザーでしたが、何か不満があったようで、「それよりいいものが出来れば採用するよ」という話がLangerさんにあったようです。それでは、ということで作った装置がBMWに認められ、そこから本格的な事業展開がはじまったと聞いております。
馬小屋からスタート
EOS開業の地はミュンヘン南西に位置するPlaneggという町で、なんと築200年の馬小屋を改造して社屋としていました。
改築前の写真が社内に展示してありましたが、馬小屋だったとは思えないほどモダンで、とはいっても街の景観に関する規制があるので奇抜ではなく、いわゆるバイエルンらしい素敵な建屋でした。
私共が代理店契約をしたのが1993年なので、EOSにとっては本格的に事業を推進して間もないタイミングだったんですね。
著者紹介
略歴
1952年 大阪生まれ
1977年 大阪府立大学大学院工学研究科船舶工学 修士課程修了
1978年 日立造船情報システム(株)入社
1991年 海外事業部部長
1993年 独EOS社と積層造形装置の日本国内における独占販売契約締結。
以後、EOS社の積層造形装置の事業推進に従事し、現在に至る。
2021年 2月1日現在
(株)NTTデータ ザムテクノロジーズ ソリューション統括部 技術部