作業の様子

TECH BLOGTECH BLOG

2023.07.10

造形に及ぼす原料粉末の影響③ ~熱処理と機械的特性~ 【EOS 金属3Dプリンター】

 前報②で、SLM用Ni基超合金ALLOY 718(ニッケル基超合金、IN718相当)のガスアトマイズ粉末とプラズマアトマイズ粉末を
金属3Dプリンターで造形した時の違いについてご紹介しましたが、最終話の本報では熱処理後の特性についてご紹介します。
図1にNi基超合金ALLOY 718のTTT図を示します。
(TTT図:time-temperature-transformation diagram、縦軸に線形目盛で温度を、横軸に対数目盛で時間をとることで、
 温度と時間による鋼の組織の変化を示した図のこと)

図1 ALLOY 718のTTT図(Metals 2017, 7, 196; doi:10.3390/ met7060196)
ALLOY 718は、溶体化熱処理後に時効熱処理をおこなう熱処理方法によってダブルガンマプライム [ γ”(Ni3Nb) ] 及びガンマプライム [ γ’(Ni3(Al,Ti)) ] を析出させることで、700℃以下の環境下においても高い強度を発揮する析出強化型合金の材料になります。
しかし、熱処理条件によっては、硬いが脆いLaves相や、少量ではピンニング効果が得られるが過度な析出ではγ”相析出の阻害をするδ(フェライト)相が析出することがあります。γ’相およびγ”相を十分に析出させつつ、Laves相やδ相の析出をコントロールするように熱処理を工夫することでALLOY 718の特性を発揮することがTTT図から読み取れます。 
 各社の熱処理前後の機械的特性を図2~4に示します(図2; 0.2%耐力、図3; 引張強さ、図4; 伸び)。
熱処理は先述した組織制御を考慮した条件(溶体化熱処理後に時効熱処理)で実施しました。
図5には、図2~4の結果から得られた強度と伸びの相関を示します。
図2 0.2%耐力
図3 引張強さ
図4 伸び
図5 強度と伸びの相関 
 0.2%耐力と引張強度は、熱処理前後で多少のバラつきがあるものの、各社凡そ同じような数値を示しますが、熱処理後の伸びは
顕著な違いがみられました。一般的にトレードオフと言われている金属材料の強度と靭性の関係を考慮しても、明確な差異です。
もちろんこれらはNi基超合金Alloy 718 として販売されている粉末ですが、規格範囲内で元素含有量が多少異なっています。
また、粉末の形状や造形後の特徴にも差異があるため、このような結果になることも必然かと思います。 
 注意すべきことは、原料粉末が変われば造形条件や熱処理条件が同じでも、必ずしも同じ結果が得られることはないということです。
金属3Dプリンターで造形する工程のなかで、原料粉末の選定は良い造形体を作製するための重要な因子の一つになります。

関連記事

会社概要​COMPANY

  • 会社情報​ABOUT US

    VISION:AMをものづくりのあたりまえに
    MISSION:AMの実践者であり先導者として、産業化されたAMプロセスを実現する

  • 製品・サービス​SOLUTION

    AM装置の販売からメンテナンス、受託生産、ソリューション開発に至るまで、
    AMに関するさまざまな事業を展開しています。