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2024.03.18

ADC12合金による積層造形の開発【EOS 金属3Dプリンター】

 ADC12合金はダイカスト用アルミニウム合金の中でも鋳造性に優れているため、その使用量は現在生産されているダイカスト製品の約90%以上を占めているといわれています。ほとんどが自動車用部品に使用されており、金属AM(金属3Dプリンター)においては新製品の試作造形などにニーズがあります。このような試作および付加価値製造に関するADC12合金の積層造形の可能性を調査しました。
 図1のADC12合金粉末を用いて金属AM装置 EOS M 290で積層造形の技術開発を行いました。条件の最適化を行った結果、ガスポア(球状の空隙欠陥)などの欠陥はなく、面積の充填率では図2に示すように99.9%以上の緻密な造形がされていることが分かりました。アルキメデス測定では密度2.70g/㎤で、これはADC12のダイカスト製品と同等の値を示しています。
図1. ADC12合金粉末のSEM写真
図2 最適化したADC12造形体の鏡面研磨した断面写真
 図3にADC12積層造形体とアルミニウム合金AlSi10Mg積層造形体の応力-ひずみ曲線を示しています。(AlSi10Mgについてはこちら)
機械的特性では、ADC12はEOSの標準材料AlSi10Mgの標準パラメータの結果を上回っていることから、本合金粉末および今回開発した造形パラメータは十分応用の可能性があります。また、表1で示すようにADC12の積層造形体は同組成の鋳造材より、強度と延性が著しく向上しています。これは、LPBF方式(Laser Powder Bed Fusion/粉末床溶融結合法)の造形過程における、極所部分の急冷によって形成される微細な組織が緻密であるためだと考えられます。
図3. ADC12積層造形体とAlSi10Mg積層造形体の
応力-ひずみ曲線
表1. ADC12積層造形体とAlSi10Mg積層造形体と鋳造ADC12の比較

※1 ADC12 のデータは下記Webサイトを参照
https://www.toishi.info/sozai/adc/adc12.html

ダイカスト製品の試作造形のみに金属AMを使用する場合、機械的特性はダイカスト合金と近い値が望ましいことが多いと思います。
当社では顧客の求める特性に合わせた熱処理のレシピ開発も取り組んでいますので、ご興味のある方は是非お問い合わせください。

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