鋳造用アルミニウム合金のなかでAC4CH合金は、靭性に優れていることから幅広い用途に使用されています。 部品の製造方法は鋳造ですが、試作では鋳造より積層造形のほうが開発時間の短縮や低コストに繋がります。このような試作および付加価値製造に関するAC4CH合金の積層造形の可能性を調査しました。
EOS M 290にてAC4CH合金粉末を用いて条件探索を行いました。最適条件ではガスポア(球状の空隙欠陥)などの欠陥なく、充填面積率では99.96%以上の緻密で造形されていることが分かりました。(図1)アルキメデス測定では密度は2.66g/㎤を示し、鋳造合金と同等の値を示しています。
図2にAC4CHとEOS標準材料AlSi10Mgの積層造形体の応力-ひずみ曲線を示しています。(AlSi10Mgについてはこちら) 表1の機械的特性では、AC4CH積層造形体はAlSi10Mg積層造形体より、強度においては劣りますが延性では優れていることが分かります。また、AC4CH積層造形体はAC4CH鋳造体の特性を遥かに超えています。これは、LPBF方式(Laser Powder Bed Fusion/粉末床溶融結合法)の造形過程における、極所部分の急冷によって形成される微細な組織が緻密であるためだと考えられます。
※1 鋳造用アルミニウム合金のデータは下記Webサイトを参照
http://www.saneitec.co.jp/pdf/c-CastingAlloy.pdf
試作のみに金属AMを使用する場合、機械的特性は鋳造合金と近い値が望ましいことが多いと思います。 当社では顧客の求める特性に合わせた熱処理のレシピ開発も取り組んでいますので、ご興味のある方は是非お問い合わせください。
(Al:アルミニウム)