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2023.06.28

 nTopのラティス構造生成機能について【3Dプリンター向け設計ソフト】

 みなさま、こんにちは。nTopサポートの川浦です。

 nTop(旧名:nTopology)は自由度の高いラティス構造を直感的に生成することができ、インプリシットモデリングによりどんな大きさや密度でもエラーを発生させることなく高速に動作します。既存製品の軽量化や強度向上、放熱や熱交換の機能向上を図りたいときだけでなく、印象的なデザインを実現したい場合にも設計時間を大幅に短縮できる可能性があります。

 今回はnTopにおけるラティス構造の仕組みについてご紹介します。
(TPMS構造やリブ構造も全て同じ仕組みになるため、特に断りがない場合はそれぞれ置き換えてお考え下さい)

ラティス構造の要素

 nTopのラティス構造は主に次の3つの要素で構成されており、Periodic Latticeブロックを使うのが基本となります。

  • ユニットセル(単位形状)
  • セルマップ(ラティス構造の生成範囲)
  • 厚さ 

ユニットセル

 繰り返される形状パターンの基準となる単位形状です。ユニットセルを定義するブロックには大きく分けて3つの種類があり、そこからさらに具体的な形状を定義します。

Gprah Unit Cell

 直線(ビーム)もしくは平面の組み合わせで定義される形状で、多数の形状がプリセットで用意されています。以下は代表的な形状のピックアップです。

Walled TPMS Unit Cell / TPMS Unit Cell with Offset

 数式で定義されるTPMS(三重周期極小曲面)形状です。こちらもプリセットが用意されています。この形状は隔絶された2空間を作りますが、片側の体積を偏重させたり完全に埋めることも可能です。

Custom Unit Cell

 ユーザー独自に定義する形状です。直線もしくは平面で定義した場合、あとから自由に厚さを調整可能になります。
 インプリシットモデルで定義した場合は、その形がそのまま拡大・縮小されてしまうため厚さの調整はできませんが、形状の制約がありません。

セルマップ

 6面体セルの集合体で、セルマップに従いユニットセルが敷き詰められます。各セルは直方体とは限らず、定義方法によって扇状であったり四角錐台の形になり、内部のユニットセル形状もそれに従い変形します。また、セルマップはXYZ軸とは別の独立したUVW軸を持っており、それらも直線であるとは限りません。

 以下はセルマップの定義するブロックです。いずれも範囲を決めるための基準となるオブジェクトが必要になります。

Rectangular Cell Map

 基本的な直方体セルマップを3方向のセルサイズを指定して定義します。セル数は対象形状を全て覆えるように自動的に設定されます。

 下の図は球を対象にセルマップを定義した例です。

Cylindrical Cell Map

 円筒座標系のセルマップです。セルサイズは半径と高さ、さらに円周の分割数で定義され、中心に近いほどセルは小さくなります。

Spherical Cell Map

 球面座標系のセルマップです。緯度・経度方向の分割数と半径でセルサイズを定義します。こちらも中心に近いほどセルは小さくなります。

Cell Map from CAD Face

 CADのサーフェス1枚を基準とし、その表面にセルを配置します。セルの大きさはサーフェスの法線方向(W軸方向)のみ高さと分割数で指定できますが、他の2方向へは分割数を指定するのみです。

 特に回転体に対して有効で、その他の曲面や平面にも適用できますが、展開しても長方形にならない下の図のようなサーフェスについては、それを全て覆う1枚の長方形をベースとしたセルマップが作られます。

Cell Map between CAD Faces

 2枚のCADサーフェスの間にセルを配置します。こちらは面の分割数に加えて、2面間の距離の分割数でセルサイズが決まります。

 上の図のようなピラミッド状のセルマップや、下の図のように流路の間を埋めるようなセルマップを定義することができます。

Cell Map from Quad Mesh

 四角形メッシュのエッジに沿って、メッシュの法線方向へセルマップを定義します。自由な形状のセルマップを作ることができますが、セルの大きさも数も対象となるメッシュに依存します。

厚さ

 ユニットセルとセルマップの定義だけでは、ラティスは厚さの情報を持っていないため実体がありません。厚さは固定値を入力するだけでなく、フィールドドリブン設計を最大限に活用できます。距離や温度など空間的な数値の分布に応じて変化をつけることが可能です。

 厚さは全方向(球状)に適用されることに注意が必要です。ラティスの伸びる方向に対して垂直な面を形成せず、端部は丸くなります。

 下の図は厚さを1mmに設定したラティスの例です。直線をR0.5mmの球でなぞっていくイメージが分かりやすいかと思います。

 次の図は、CADサーフェスに対して高さ3mmのリブ形状を定義し、1mmの厚さを持たせた例です。この場合サーフェスからの高さは最大3.5mmになります。また、サーフェス側にも0.5mm食い込みます。

 実際のデザインでは端部を目標寸法内に収めつつ、シャープな面にしたいことがほとんどだと思います。その場合はブーリアン演算でトリミングをするなどの調整をします。

サンプル形状

 3つの要素が揃うと、インプリシットモデルのラティス構造が出来上がります。

 ここからブーリアン演算を駆使して任意の形状へ整えていきます。以下はnTopで作成した形状サンプルです。これらは全てSTL形式のファイルとして出力できます。

 以上、nTopのラティス構造についてご紹介いたしました。いかがでしたでしょうか。新たな製品アイディアのご参考になれば幸いです。
導入のご相談やデモのご希望など、nTopに関するご質問はお問い合わせまでお願いいたします。

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