Drylyte®テクノロジーの仕組み
乾式電解研磨では、電解質の粒子が研磨槽内の陰極と研磨対象物(陽極)に電気的に接触し、閉回路を発生させます。
個体電解質に電圧をかけ電流を流すと、陽極反応と陰極反応が同時に起こる酸化還元反応が発生し、
金属製の対象物(陽極)が酸化されることで研磨加工が行われる仕組みです。
また、研磨中は常に陽極と陰極が入れ替わる仕組みになっており、
金属製の対象物が陽極の時に研磨を行い、陰極の時に還元をするため、品質の高い研磨結果を得ることができます。
反転するタイミングや時間は材質ごとに異なりますが、それぞれの最適なパラメータが予め装置にプリセットされております。
DLyte乾式電解研磨の特徴
1. 研削雰囲気と研磨雰囲気を1ステップで実現
電解液の代わりとなる薬液が電解質(エレクトロライト)に含まれており、
通電状態で研磨対象物に触れることでその薬液が染み出て、研磨槽内の湿度が上がります。
高湿度で高電流となるため、積極的な研磨(研削)が行われます。
逆に低湿度で低電流となるため、バフ研磨の雰囲気となります。
このように、槽内の湿度環境を変化させることで研磨量を任意に設定できます。
研磨装置には湿度調整用に精製水噴霧機能や圧縮エアーの噴出機能が備わっており、
狙う湿度を設定しておけば自動で研磨槽内の湿度を制御することができます。
2. 角やエッジのダレが非常に少ない
エッジや角に対してはメディア粒子が触れる時間が極めて短い為、
湿式電解研磨やバレル研磨に比べると、オリジナルの形状を維持しやすい技術です。
3. 樹脂との複合材料も研磨可能
電解研磨であるため、樹脂には反応しません。
そのため、樹脂との複合材料であっても金属面のみが研磨されます。
また、研磨したくない金属面は一般的なマスキングテープや塗料で保護することで、任意の箇所だけの研磨も可能です。
4. 研磨での減肉が圧倒的に少ない
DLyte研磨による減肉は、他の研磨方法と比較すると圧倒的に寸法偏差が少なく、
AM造形物のみならず従来の切削物へも非常に適した研磨技術です。
もちろん長時間の研磨では寸法に影響が生じますが、予測がしやすいためコントロールが可能です。
5. 鋼種別の研磨パラメータが標準装備
鋼種ごとに研磨のプロセスを変える必要がありますが、
鋼種別の研磨パラメータがプリセット済みであるため、誰でも簡単に操作が可能です。
また、独自の研磨パラメータを設定し、装置に保存することも可能です。
DLyte乾式電解研磨のメリット
DLyte乾式電解研磨と最も比較しやすい研磨技術である湿式電解研磨と比較してみます。
湿式電解研磨
湿式電解研磨では、電解液の温度管理や電流密度の設計といった専門知識が必要となり、
研磨効果としても角ダレが発生しやすいと言えます。
また、研磨後の電解液の処理も中和等を必要とし、環境問題の観点からも敬遠されていると聞きます。
DLyte乾式電解研磨
一方でDLyteでは、一般的な室内環境での使用であれば厳密な温度管理は不要であり、
電流密度の設計も必要としないことから、専門知識なしで研磨が可能となります。
操作面でも材料別の研磨条件がプリセットされているため、ボタンを押すだけで誰でも容易に電解研磨が可能です。
また、イオン交換樹脂からなる乾式の電解質も中和せずにそのまま産廃として廃棄が可能です。
サンプル研磨サービス
XAMでは、DLyteでのサンプル研磨サービスを行っております。
対象鋼種
超鋼、アルミニウム、ステンレス鋼、インコネル、コバルトクロム合金、チタン、銅、マルエージング鋼
※ 炭素鋼、その他鋼種は別途ご相談ください。
対象寸法
直径180mm x 高80mm 内に収まること。
※ 対象寸法内でも、形状により研磨できない場合がございます。
サンプルの状態
- 金属造形製品の場合は、サポートを除去した状態でお願いします。
ショットブラスト後の研磨も可能です。 鋳造製品、切削製品の研磨ももちろん可能です。
- ご要望の研磨結果が得られない場合もございますので、あくまでも処分可能なサンプル片でお願いいたします。
- サンプルをご送付いただく前に、メールにて対象の図面または画像をお送りください。研磨可否のご連絡をさせていただきます。
- サンプル数1個からお受けいたします。
研磨条件による変化を比較する場合は、同形状のサンプルを複数ご用意ください。
次回は実際の研磨事例と製品のラインナップについてご紹介します。