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2023.07.24

DLyte乾式電解研磨による研磨事例と製品ラインナップ【金属3Dプリンターの表面処理】

 前回はDLyteの研磨の仕組みと特徴、湿式電解研磨と比較したメリットについてご紹介しました。(こちらからご覧いただけます。)

今回は実際の研磨事例と、卓上サイズから大型サイズまでの製品ラインナップをご紹介します。

DLyteでの乾式電解研磨事例

1. MS1(マルエージング鋼)

 EOSの金属積層造形機(金属3Dプリンター)のM290で造形したマルエージング鋼のサンプルです。

造形したままの状態のサンプルをDLyteのみで研磨した事例となります。

研磨時間は長いですが、エッジをキープしながらも面粗さが大幅に改善されています。

また、研磨を24時間まで継続した場合、寸法変化はありますが、積層段差も目立たなくなり、面粗さも大幅に改善しています。

2. Inco718(インコネル)

 こちらは切削面をイメージしたサンプルの鏡面研磨の事例です。

金属積層造形物(造形機:EOS M290、材料:EOS IN718)の面を、サンドペーパーの400番まで手研磨してから、DLyte研磨を60分だけ行いました。

前処理として手研磨を行っていますが、これは切削面と同等レベルというイメージです。

DLyteで短時間かつ簡単に鏡面状態まで研磨することができています。

3. Inco718(インコネル)での組み合わせ研磨

 最後にご紹介するのは、SMAP*で前処理した後にDLyte研磨した組み合わせ研磨の事例です。

*SMAPとは:

東洋研磨材工業株式会社様のエアーを使わない遠心力を応用した投射加工マシンで、

メディアは弾性研磨材を使用しています。

AM造形直後(造形機:EOS M290、材料:EOS IN718)の面から直接研磨を行うのではなく、

前処理としてSMAPを行っています。

これにより、研磨時間の短縮だけでなく、積層段差やウネリが減少しているのが分かります。

研磨装置のラインナップ

エレクトロライト(電解質)には大分類としてコバルトクロム、ステンレス、ニッケル系、スチール系、チタン系、アルミニウム系があり、

研磨対象物の状態や研磨目的、外形寸法や数量に合わせて選択できるようになっています。

小型機:DLyte Desktop Pro / DLyte Desktop Dental

名称に”Dental”がつく緑色の機種は歯科専用機です。研磨できる材質をコバルトクロムとチタンのみに制限したことで価格を抑えたモデルで、その他鋼種に対応できる一般用(Pro)と操作や研磨能力に差はございません。

大学や研究所、小規模ラボでのご活用が多い製品です。

設置面積が最小であり、小さい部品や少量の研磨に適した卓上のモデルです。

研磨可能寸法は最大で外径80mm、高さ60mmと小さいながらも、

研磨品質や使いやすさは中型・大型モデルと同等です。

中型機:DLyte 1 / DLyte 1D

名称に”D”がつく緑色の機種は歯科専用機です。研磨できる材質をコバルトクロムとチタンのみに制限したことで価格を抑えたモデルで、その他鋼種に対応できる一般用と操作や研磨能力に差はございません。

DLyteシリーズでのスタンダード機。

研磨可能寸法は外径90mm、高さ70mm。

中型機:DLyte 10 / DLyte 10D

名称に”D”がつく緑色の機種は歯科専用機です。研磨できる材質をコバルトクロムとチタンのみに制限したことで価格を抑えたモデルで、その他鋼種に対応できる一般用と操作や研磨能力に差はございません。

DLyteシリーズでのスタンダード機。

研磨可能寸法はDLyte 1より少し大きい、外径140mm、高さ75mm。

中型機:DLyte 100 / DLyte 100PRO

DLyteシリーズでのスタンダード機。

研磨可能寸法はDLyte 10よりも少し大きい、外径180mm、高さ80mm。

DLyte 100PROはより安定したプロセスで生産性を高くしています。

大型機:DLyte PRO500

DLyteシリーズでは大型機に分類され、1個での研磨の場合、研磨可能寸法は外径500mm、高さ250mm。

複数個同時の研磨の場合、外径200m、高さ200mm以内であれば同時に8個まで研磨が可能です。

小型~大型部品の大量研磨に対応しており、最後まで安定して均一な研磨が行えます。

研磨終了後は自動で研磨槽外へとアームが移動しエアーで付着しているメディアを取り除くため、生産性も向上しています。

また、AGVやロボットアームを利用した研磨の自動化にも対応可能な機種です。

DLyte eBlast

2021年にリリースされた新技術。
電気がチャージされたエレクトロライト(電解ブラスト液)をノズルから噴射することで、狙った箇所を局所的に研磨できる機種です。アームに部品を取り付ける必要がないため、研磨対象となる部品のサイズや重量に選択の幅が広がりました。

この電解ブラスト液は金属表面に対して保護膜を形成するため、粗さの谷となる部分に蓄積し表面をピッティングから保護する役割も担っています。

最後に

 乾式電解研磨装置DLyteがリリースされてから6年が経過し、装置メーカーであるGPAINNOVA社はあらゆるニーズに対応できるように技術を飛躍的に革新してきました。

アディティブ・マニュファクチャリング(AM)の製品のみならず、従来からある金属加工製品への適用も多く、今後も後処理研磨の自動化・簡略化・再現性を更に追及していきます。

 弊社、NTTデータ ザムテクノロジーズとしては、DLyte乾式電解研磨技術の向上はもとより、

さまざまな技術との組み合わせを自ら検証し、日々、目的に適した最適な後処理方法を探求しております。

もちろん自社で実証したうえで、自信をもってお客様へのご提案をさせていただきます。

サンプル研磨サービス

XAMでは、DLyteでのサンプル研磨サービスを行っております。

対象鋼種

超鋼、アルミニウム、ステンレス鋼、インコネル、コバルトクロム合金、チタン、銅、マルエージング鋼

※ 炭素鋼、その他鋼種は別途ご相談ください。

対象寸法

直径180mm x 高80mm 内に収まること。

※ 対象寸法内でも、形状により研磨できない場合がございます。

サンプルの状態

  • 金属造形製品の場合は、サポートを除去した状態でお願いします。
    ショットブラスト後の研磨も可能です。 鋳造製品、切削製品の研磨ももちろん可能です。
       
  • ご要望の研磨結果が得られない場合もございますので、あくまでも処分可能なサンプル片でお願いいたします。
       
  • サンプルをご送付いただく前に、メールにて対象の図面または画像をお送りください。研磨可否のご連絡をさせていただきます。
       
  • サンプル数1個からお受けいたします。
    研磨条件による変化を比較する場合は、同形状のサンプルを複数ご用意ください。

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