鳥取県倉吉市にて1957年から歯科技工所を営む有限会社倉繁歯科技工所様が、
乾式電解研磨機 DLyte Desktop Pro、DLyte 100 を導入した事例をご紹介します。
(画像の出所は一部、倉繁歯科技工所様より)
技工士の抱えていた課題について
有限会社 倉繁歯科技工所 取締役 倉繁 竜士 様
義歯を作る工程において、金属の部品を研磨する作業というのはすごくストレスフルな工程です。たとえば振動が手に伝わってきて腱鞘炎を起こしたりとか、マスクで防いではいますが粉塵が飛んでくるといった身体的なリスクというのも当然あります。
そして業務は長時間にわたります。そこをなんとか楽にできないかという思いが前提としてあり、ピタッとハマったのがDLyteでした。
DLyteを知ったきっかけは何でしたか?
倉繁 竜士様: 2018年6月に東京ビッグサイトで行われていたXAMさんが出展していた展示会でDLyteを初めて目にしました。 当時は金属AM(金属3Dプリンター)に関する情報収集をしており、事前にWEBでお問い合わせして補綴物の造形サンプルを送っていただいたこともありました。ですので、展示会参加の動機としてはXAMさんのブースでより詳しく金属AMに関する情報を得ることでした。 ブースでは歯科技工所が来たことが珍しかったのか「歯科に使える研磨機ありますよ、これすごいですよ!」と声をかけていただき、研磨機のDLyteを知りました。国内歯科業界では、まだ導入されていないとのことで、その時点では機器の詳細は聞かずに帰ってしまいましたが、結果的に役員・社員の目に留まったのはDLyteでした。
最終的にDLyteを選んだ理由は何でしたか?
倉繁 竜士様: 展示会参加後、しばらくしてXAMさんのDLyte担当の方からお電話いただきました。 当社としては展示会で見ており、役員・社員としても気になっていた機器でしたので、まずは役職者2名を派遣して様子を見てきてもらいました。 帰社後、彼らが興奮しながら報告してくれたことを覚えています。当社の製造ラインでDLyteがどのように活きるかについて現場担当者が具体的にイメージできたこと、精度面に満足していたことから導入に向かって具体的に動こうということで、直後に私と社長の2人で訪問させていただきました。今となって思うのは、XAMさんの親身な対応にみんなが魅かれたのかな。
導入までに、不安に感じたことはありましたか?
倉繁 竜士様: 当社で1,000万円を超える買い物は、その当時ミリングマシンくらいで、ましてや研磨機に1,000万円以上支払うことには勇気がいりました。当初は鳥取県の補助金を活用しようとしましたが、関係各位との調整が上手くつかず不採択となってしまいました。 XAMさんにも引き続きご相談させていただき改めて経産省のものづくり補助金に挑戦しました。結果こちらが採択となり、無事導入に至りました。こうした資金面の不安が大きかったくらいで、納期をはじめXAMさんの対応に対して不安を感じたことはありません。 DLyteを設置した日は、従業員全員でその様子を見ていたのですが、あの日の経験は忘れられません。 設置後、試運転で実際に研磨を行い、研磨後のパーツを見たときに全員が笑顔になっていた光景が鮮明に残っています。なかでも技工部部長の福田は普段はいいですね、とあまり言わないのですが、この時は一緒に笑ってくれていて、それがとても嬉しかったことを今も思い出します。
実際にDLyteを導入してみて
有限会社 倉繁歯科技工所 技工部 部長 福田 鉄也 様
導入前はレーズ研磨機で手研磨を行っていました。1時間以上立ちっぱなしの重労働のうえ、思うように研磨が出来ず妥協してしまいそうになることもありましたが、導入後は手研磨から解放されて時間的な余裕が生まれました。
手作業で1個あたり30分から1時間かかっていた研磨作業が、今はDLyteで9個まとめて15分。しかもその15分間というのは、実際に手が空いて他の作業ができるというのは全然違いますね。適合作業に集中して時間を割くことが出来るようになりました。DLyteにはメディアが入っていて、電気が流れたら研磨できてしまう訳ですから、研磨しにくい部分などもなく一律に、均一に研磨できる、それが優れた点ではないかと思います。 仕上がりは熟練したテクニシャンと同レベル、あるいはもっと良いんじゃないかなと思います。結構仕上がりは自信を持っています。
私のような職人気質の人間でもDLyteを問題なく使うことができています。DLyteがあまり得意ではない形状も分かってきましたので、今後はどんなパーツでも満足がいく結果が得られるように工夫していきたいと思っています。
有限会社 倉繁歯科技工所 技工部 義歯班 安藤 克己 様
導入前は最終段階の艶出し作業で指を長時間酷使していましたが、導入後は仕事の効率が上がり作業時間の短縮と体への疲労度が少なくなりました。
はじめてDLyteを操作したときは、年寄りには苦手な日本語の無いタッチパネルだったので戸惑いましたが、慣れると年齢や性別に関係なく誰でも操作できる装置なので、もっと効率的に作業が進むよう活用していきたいです。
DLyteで研磨したものに対するドクター、お取引先様の評価をお聞かせください
倉繁 竜士様: ドクターの反応は上々です。 まず、患者使用感にも直結する研磨作業をないがしろにしていない様子を力強く発信することができました。実際にドクターの手元に渡った際、全体的に均一に研磨されていることに驚かれ、さらに人の手で研磨したものと比べ精度に遜色ない、むしろ高い、と評価いただきました。磨きにくいクラスプ(入れ歯を残存歯に固定するためのパーツ)の内側もDLyteでは自然と滑らかになるので、着脱の際に傷つけにくく、残っている健康な歯にも優しく仕上げることができています。 また金属床の一部を透明感のある樹脂で挟み込むのですが、その部分もDLyteにかけると研磨できるので機能的な面だけではなく、お渡しするときのビジュアルとしても透けて見える部分もきれいだと、好印象を持っていただいています。
DLyteを活用することでどんな未来を目指していきたいですか?
「歯科技工士をリデザイン」
倉繁 竜士様: 既存の歯科技工士の姿をそのまま続けていくのではなくて、どこかで新しい考えだったり新しい技術を入れて、この歯科技工士という仕事を新たにデザインし直すという作業をしないと、特に地方においては将来性はないのかな、という風に思っています。 歯科技工業界は人材不足が顕著に進んでおり、これまで通りのマンパワーに頼ったやり方ではどうしても限界が来ている状況と言えます。機械化・デジタル化できる作業は積極的に切り替え、残った非効率的業務に注力するという工程の再構築が必要だと考えます。DLyteを使って感じるのは、先に言った通り非効率作業に注力できるようになったこと、結果的にそれが企業の差別化要素となっていることです。 具体的に言うと、金属部品を模型にフィットさせるための適合作業があります。これは機械化ができない、職人の腕前が現れる工程です。この適合作業と金属の鏡面研磨をこれまでは一体で行っていましたが、研磨機を導入したことで作業者は適合作業に集中できるようになりました。労働負担の高い工程を改善し、かつ付加価値を高めてくれる機器はそうそうないと思います。こうした機器を肯定的にとらえることができれば、業界課題の解決、各技工所の工程再構築につながると思います。 これがDLyteを通して見る業界の夢です。
「職人の満足度が患者の満足度につながる」
倉繁 光信様: 臓器(異物感の少ない義歯)になるために、自分たちは心を込めてものを作っていかないと患者さんに対して失礼じゃないのかという思いを絶えず持ちながら仕事をしています。職人の満足度が患者の満足度につながると信じていますので、今回のDLyte導入は非常に良いものだったと思っています。
会社名 | 有限会社倉繁歯科技工所 |
Webサイト | https://lab-kura.com/ |
本社 | 〒682-0034 鳥取県倉吉市大原632-16 |
設立 | 1957年 |
事業内容 | 歯科技工 |
小型機:DLyte Desktop Pro / DLyte Desktop Dental
中型機:DLyte 100 / DLyte 100PRO
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