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AM四方山話 #12 製造コスト

2021/08/20

アプリケーション開発・受託製造 技術コラム

>>前回のお話『#11 金属AMの目的』はこちら

AMと部品製造コスト

 AMを実現するうえで重要な検討項目となるのが部品の製造コストでしょう。

AMでしかつくれない高機能部品といえども、部品単価があまりに高いとAMの実現も難しくなります。

部品の単価を評価する場合、その部品のライフタイムにわたるコスト、即ち将来発生するメンテナンスや耐用年数も考慮した『生涯コスト』で比較検討して欲しいものですが、残念ながら材料単価はいくらか? 製作時間はどれだけか?といった狭くて単純な評価項目で判断される場合が少なくありません。

特に、金型のコスト評価でそのような例が多いように思います。

勿論、AMの普及には部品の製造単価の低減が重要課題の一つなので、EOSも精力的に改善を図っています。

材料費だけではない、損失について

 製造コストの要素としてすぐに思いつくのは、材料費(粉末材料や造形プラットフォームの値段)、造形装置や周辺機器の価格(償却費)、あとは不活性ガスや電気などの装置の運用に必要な費用などですが、そのほかに忘れてはならないのが造形ミスによる材料や工数の損失です。

特に金属造形の場合、これが意外と大きなコスト増大の要素となります。以下に、個々の要素について思うところを述べてみます。

1.材料価格

 金属の場合ですが、EOSの粉末材料価格は材質に応じてキログラム当たり1.4万円から9.3万円です。この10年間でゆっくりですが低価格化が進んでおり、今後も消費量の増大とともに低価格化が進むと思われます。

2.造形ミスによる損失

 金属造形の場合、大きな部品だと100時間を超える造形時間を要する場合も多々あります。そのような造形が終了間近でクラッシュしたり、造形後に欠陥が見つかった場合、ロスする材料や時間は膨大です。このような損失を最小に抑える為には、シミュレーションソフトによる内部応力の分布や変形の予測を造形前に綿密に行う必要があります。また、装置に組み込まれた各種のモニタリング機能で造形工程に異常が現れた時点でオペレータが確実に把握し、対応が取れる仕組みが実現されつつあります。将来的には異常を自動的に修復するような閉ループ制御が組み込まれるものと思われます。

3.装置価格

 残念ながら、装置価格はこの20年間で安くなった感じはありません。次々と新しい機能の追加や性能アップが図られているからだと思いますが、今後もこの傾向は続くのかなあと思います。

 他にも、製造コスト低減に寄与する要素として「造形時間の短縮」があります。造形時間の短縮は量産性の向上のみならず、製造コストの低減にも寄与するのですが、このことについてはまた次の機会に述べたいと思います。

次回、『AMと量産性』


著者紹介

前田 寿彦/ Toshihiko MAEDA




略歴

1952年 大阪生まれ

1977年 大阪府立大学大学院工学研究科船舶工学 修士課程修了

1978年 日立造船情報システム(株)入社

1991年 海外事業部部長

1993年 独EOS社と積層造形装置の日本国内における独占販売契約締結。

     以後、EOS社の積層造形装置の事業推進に従事し、現在に至る。

2021年 2月1日現在

    (株)NTTデータ ザムテクノロジーズ ソリューション統括部 技術部

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