一方、金属AM(金属積層造形)後の造形体は、As built と言われる造形ままでその材料がもつ特性を発揮することはほとんどありません。造形時の熱収縮から生じる歪み除去はもちろん、材料によっては溶体化熱処理、析出させる元素を含む場合は時効熱処理、硬さや靭性を調節したい場合は焼き入れ・焼き戻し等、鋳造材で一般的にされている熱処理を実施する必要があります。
金属AMでよく使用されるマルエージング鋼、Ni基Alloy718(ニッケル基超合金、IN718相当)やAlSi10Mg(アルミニウム合金)はそれらの熱処理条件が明確になっていますが、文献や教科書に記載されていない材料では、適した熱処理条件を見つける必要があります。そのため、弊社では熱処理条件を見出すためのツールの1つとして、DSC装置を利用しています。
図2に弊社で使用している一般的なマルエージング鋼粉末のDSC曲線を示します。