作業の様子

TECH BLOGTECH BLOG

2023.12.11

熱処理炉の温度センサー設置について【EOS 金属3Dプリンター】

 金属3Dプリンター(金属AM)で造形した造形物の材料本来の特性を発揮させるには適切な熱処理が必要です。その造形物熱処理のために造形プレートを電気炉に入れるのですが、その際に弊社では電気炉にいくつかの処置を施しています。 
通常、電気炉のセンサーは対象物ではなく写真1のように炉内空気の温度を測っているため、正確に対象物の温度を計測しているとは言えません。
金属3Dプリンターの熱処理炉の温度センサーの設置に関して①

写真1
炉内温度センサー
対象物を直接計測していない

炉内の温度を基準としてプログラムを動かすと、対象物が目標温度に達していなくても、炉内が目標温度に到達したということでタイムカウントが開始してしまい、間違った熱処理プログラムを実行してしまうことになります。
グラフ1の温度ログを見ていただいても温度変位の違いが分かると思います。
金属3Dプリンターの熱処理炉の温度センサーの設置に関して②
グラフ1 センサーによる違い
このような問題を防ぐ方法として、弊社では安定した熱処理を実行させるために現状炉内のセンサーを使用せず、外部の後付けセンサーを直接造形物に付けて計測しています。
 次にセンサーの設置に関してもひと工夫しています。
温度センサーは対象物にしっかり接触していないと正確なセンシングができないのですが、全ての造形物にセンサーがうまく接触するとは限りません。さらに3Dプリンティングは自由な形状が得意なので、造形物は従来品と比べて複雑な形状であることが多いです。
そこで弊社では、センサー用の鞘を造形時に製作しています。(写真2-1、2-2)
金属3Dプリンターの熱処理炉の温度センサーの設置に関して③

写真2-1
通常はこのようにセンサーの接触面積が少ない場合が多い。

金属3Dプリンターの熱処理炉の温度センサーの設置に関して④

写真2-2
センサーがちょうど収まる鞘。
マカロニ形状。

鞘の有り無しでグラフ2の温度ログを比較すると、鞘無しの場合はセンシングが不十分で実際より温度が低く感知されてしまい、コントローラーは温度上昇命令を出してオーバーシュートを起こしています。また温度が波打って不安定な部分も発生しています。
グラフ2 センサー鞘有無
弊社では、金属AMで高品質な製品を製造するためには安定した熱処理が必要不可欠だと考え、このように対策を行っております。

関連記事

会社概要​COMPANY

  • 会社情報​ABOUT US

    VISION:AMをものづくりのあたりまえに
    MISSION:AMの実践者であり先導者として、産業化されたAMプロセスを実現する

  • 製品・サービス​SOLUTION

    AM装置の販売からメンテナンス、受託生産、ソリューション開発に至るまで、
    AMに関するさまざまな事業を展開しています。