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2026.05.25

歯科技工における金属3Dプリンターの活用とは?:前編

 歯科技工業界では、日本の高齢化社会に伴い歯科技工物の需要が増加している一方で、以下のような課題を抱えています。
  1. 技術者不足
    新たに歯科技工士免許を取得する若者は年々減少傾向にあり、業界の技術者不足は深刻化しています。
    歯科技工物の製造工程では、手作業が多く、ベテランの歯科技工士に依存する構造が続いているため、技術を次世代に継承するのが難しい状況にあります。
      
  2. 一定でない品質
    属人性の高い業務のため、品質を均一にするのが難しく、歯科技工士のスキルに製品の品質が大きく依存してしまいます。
     
  3. 設備投資の難しさ
    中規模以上の歯科技工所で、設備投資が進み、作業環境がいくらか改善される一方で、与信力の低い個人事業主の小規模な歯科技工所では、機械化、デジタル化に進むような設備投資は困難である傾向が高いです。
     
  4. 労働環境の厳しさ
    特に小規模の歯科技工所では、高い集中力が求められる手作業や、それに伴う長時間労働によって、働き手の定着率が低下しています。
今回は解決策の1つとして、金属3Dプリンターを導入している歯科技工所について2回に分けてご紹介します。
歯科技工所の作業の様子

金属3Dプリンター導入による革新

歯科技工における鋳造・研磨といった金属を扱う工程は労働負担が大きく、熟練性を要しますが、金属3Dプリンターを活用することで、以下のようなメリットが得られます。

安定した品質で製造が可能

金属3Dプリンターは、コンピュータ制御により高精度かつ複雑な構造の歯科技工物を製造することが可能です。
これにより従来の手作業に頼る部分をデジタル技術で補い、品質の均一化を実現します。

生産効率の向上

複数の歯科技工物を一度に製造できるため、時間とコストの大幅な削減が可能です。
歯科技工物は個々で形状が異なるカスタムメイドのため、従来の製造工程よりも効率的なプロセスを提供できます。

若手の育成が容易に

デジタル技術を活用するため、短期間での基本スキル習得が可能となり、これまで難しかった若手の育成が容易になります。

環境負荷の軽減

L-PBF方式のEOS/AMCMの金属3Dプリンターは、造形時にレーザー照射されないエリアの未焼結材料は再利用が可能です。そのため従来の鋳造工程で発生する廃棄部分や、削り工程で発生する廃棄物を減らし、環境負荷を低減できます。AM技術は業界全体の持続可能性向上に寄与しているといえます。
義歯用金属部品をEOS金属3Dプリンターで造形。
従来の鋳造物と比較して疲労強度は2倍以上の値となる。
文中のワードについて。
「L-PBF方式」とは、産業用3Dプリンターで最も一般的なLaser Powder Bed Fusion(粉末床溶融結合法)とよばれる技術で、材料となる金属や樹脂の粉末をレーザーで溶融させる、溶接技術の一種です。
「AM技術」とは、Additive Manufacturing(アディティブ・マニュファクチャリング)の略で、3Dプリンティング技術を意味します。

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