株式会社FUJIは、EOS社の最先端3Dプリント技術を導入し、自社製品の開発において革新を続けています。FUJIがこの技術をどのように活用し、どのような成果を上げているのか、そしてXAMとの協力を通じた未来へのビジョンについてのインタビューをご紹介します。
以下、アディティブ・マニュファクチャリング技術(AM技術)のことを「3Dプリント技術」と記載。
また、金属積層造形装置のことを「3Dプリンター」と記載。
イノベーションを追求するFUJIの挑戦
株式会社FUJI 上席執行役員 開発センター長 兼 技術部 部長 藤田 政利 様
株式会社FUJIは、電子部品実装ロボットや工作機械を主力事業として、世界中の電子機器製造を支えています。当社の電子部品実装ロボットは、私たちが日常的に使用するスマートフォンの電子基板の製造にも広く活用されています。
創業以来、時代の変化に応じて製品を進化させ、近年では介護ロボットや宅配ロッカーなど、多岐にわたる新規事業を展開しています。
我々のコーポレートメッセージである「innovative spirit」を胸に、新しいことにチャレンジする姿勢が当社の強みです。
新たな製造プロセスの必要性
電子部品実装ロボットの性能向上や高速化、高機能化への要求は年々高まっています。これらの要求に応えるためには、部品の軽量化や小型化、そして設計スペースの効率的な活用が不可欠です。
しかし、従来の切削加工方法ではこれらの課題に対応することが困難でした。
そこで、業界の激しい競争に勝つために取った決断が、主力製品の性能向上を目的とした新技術の導入です。これがEOSの3Dプリンター M 290を導入するきっかけとなりました。
EOS社を選んだ理由と具体的な成果
数あるメーカーの中から当社がEOS社の3Dプリンターを選定した理由には、その卓越した実績と品質への信頼がありました。
いくつかのメーカーにベンチマーク造形による性能評価を依頼し、実際にEOS装置での結果が良好だったことに加え、当社で新たに浮かび上がった課題に対して、すでにXAMが解決策を提示できていた点が、信頼に繋がる要因となりました。
当社は産業装置の設計・開発を行うメーカーとして、高機能性に加え、品質の安定性を非常に重要視しています。EOS社の圧倒的な実績は、その安定性と信頼性を裏付けるものと考えています。実際にEOSの技術を導入したことで、当社は製品開発において大きな成果を上げています。
現在、さまざまな造形を試みており、小型化や軽量化の分野で大きな効果を実感しています。特にラティス構造を使用することで、従来の加工方法では実現できなかった性能向上が期待されています。
複雑形状の実現とスムージング技術の活用
株式会社FUJI 豊田事業所 調達本部 機械加工部 第2機械課 シニアリーダー 遠山 哲也 様
当社は、従来の切削加工では実現が難しかった複雑な形状の部品製作において、EOSの3Dプリント技術を最大限に活用しています。
例えば、旋盤でワークを保持するチャックに使用されるチャックレバーでは、従来の切削加工だと重量があり、回転数を上げると遠心力で変形してしまう課題がありました。しかし、トポロジー最適化によって導き出された形状を造形することで、剛性を保ちながら質量を65%削減することができました。
その結果、旋盤の上限回転数を25%上げることが可能となり、加工のサイクルタイムを短縮できました。
トポロジー最適化によって導かれた形状は、設計ソフトウェアでのスムージング処理によって滑らかな形状に仕上げます。これにより応力の集中を防ぎ、繰り返し荷重による疲労を起こしにくくする効果があります。結果として、部品の耐久性と寿命が向上したという成果もあがりました。
手厚いサポート体制とXAMとの連携
新技術の導入に際しては、操作方法や品質管理など多くの課題がありましたが、XAMからの手厚いサポートがその解決に大きく貢献しました。
初めて装置を触る人も多く、導入教育が難しいと感じていましたが、基本的なことから丁寧に教えていただけたので、不安なく装置を使い始めることができました。さらに、パラメータ開発や品質管理などの技術的な質問にも迅速かつ的確に対応していただけるので、とても助かっています。
また、定期メンテナンスサービスによって装置は常に最適な状態に保たれ、安定した稼働が可能になっています。
今後の展望としてXAMとの協力を通じて、自社の産業装置に応用できる部品を開発し、当社がその先駆者となりたいと考えています。 また、開発センターとしても金属3Dプリント技術の研究開発を進めており、造形品質の安定性を維持しつつコストを抑えるパラメータの構築を、XAMと一緒に進めていきたいです。
量産展開と未来への革新
当社は現在、自社製品の性能向上のため、3Dプリント技術の適用部品の拡大を目指しています。
そのなかで造形効率の向上や量産時の品質管理などが新たな課題となってくると考えており、引き続きXAMの豊富な知見とサポートを活用していきたいと思います。
技術者としての視点から、3Dプリント技術の活用による新たな可能性にも期待が寄せられています。
せっかくEOSを導入したので、この技術でしか実現できないようなデザインや製品を生み出していきたいですね。
株式会社FUJIの3Dプリント技術への取り組みは、製品開発の効率化と品質向上に大きく寄与しています。XAMとの協力を通じて、これからも新たな技術革新と製品価値の向上に努めてまいります。
会社名 | 株式会社FUJI |
Webサイト | https://www.fuji.co.jp/ |
本社 | 〒472-8686 愛知県知立市山町茶碓山19番地 |
設立 | 1959年4月 |
事業内容 | 電子部品実装ロボット、工作機械 |
(株)NTTデータ ザムテクノロジーズでは、
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