前回、金属AM(金属3Dプリンター)の造形後に鏡面研磨した試料を顕微鏡で観察しました。
それに続き今回は試料のエッチングについてのお話です。
エッチングとは金属と試薬の化学反応によって金属表面を腐食させる工程のことです。本来エッチング処理はそれぞれの材料の特徴的な組織、結晶の形や大きさ、熱処理による組織の変化、析出物等を観察します。そのエッチングを利用して今回は積層造形時にレーザーが金属を溶融した時にできる痕跡であるメルトプール(溶融池)を観察します。
試薬を用いてエッチングを行うと、メルトプールを見ることができます。(図1)
図2、3はインコネル718(IN718)のメルトプールを顕微鏡で観察した様子です。
このように顕微鏡を使ってメルトプールの深さや幅、重なり具合を観察し、前回の研磨表面観察と同様にパラメータの開発に役立てています。常に図2、3のようにきれいにエッチングできれば良いのですが、金属によってはメルトプールが見えにくい場合や、エッチング自体がしにくい金属もあります。
次回は、試薬ではエッチングしにくい金属の例をご紹介します。
インコネル718:IN718、ニッケル基超合金、Ni基超合金ALLOY 718