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2024.11.25

SEMを使った金属3Dプリンターの品質管理とは?

 今回は当社が保有しているSEM(走査電子顕微鏡)を使った品質検査についてご紹介します。SEMの倍率は光学顕微鏡が約2000倍まで拡大できるのに対して約数万倍まで拡大することができるため、金属3Dプリンターで使用する金属粉末材料や造形品をより詳細に観察・分析することに適しています。
図1.SEM(走査電子顕微鏡)
品質検査では材料粉末の受入検査や、造形不良があった場合の観察に使用しています。
実際に造形に使用する粉末のSEM観察結果をご紹介します。
図2.金属粉末のSEM観察画像①
図3.金属粉末のSEM観察画像②
図2と図3は同じ材質ではありますが、製造方法の異なる金属粉末をSEM観察したものです。図2は微細な粉末が多く形状も不揃いであるのに対し、図3では微細な粉末は無くきれいな球形をしており同じ材質の粉末でも製造方法によって違いがあることがわかります。
このように粉末の形状に明らかな違いがあることを確認できるため、粉末受入検査時には粉末の形状や異物などが存在していないかなどを観察しています。
また、粉末検査だけでなく造形した造形物の断面を観察することもあります。
図4.造形物の破断面のSEM観察画像

図4は引張試験を実施した同時試験片の破断面です。赤い丸で囲っているところに未溶融や粒界割れを観察することができます。このように粉末の未溶融部の観察や造形物の表面に付着している酸化物などの組織分析も可能です。

また、当社では品質検査のほかにパラメータ開発にもSEMを使用しています。開発したパラメータで造形した試験片の引張試験後の破断面観察を行い、パラメータごとにどのような違いあるかを分析して開発業務に役立てています。

ほかにも問題が起きた造形に使用した粉末に対して、原因調査の一つとしてSEM観察を行うことがあります。たとえば粒径の観察、サテライトといわれる付着物がないか、歪な形状をした粉末がないか、流動性に問題はないか、さらにはSEMに搭載されているEDX(エネルギー分散型X線分析装置)を使って定性分析や元素マッピングを行い、異物の有無や酸化していないかなど、問題の要因となり得る様々な要素を確認しています。

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