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2024.12.16

非破壊で行う内部観察とは?金属3Dプリンターの品質管理

 今回は当社で実施しているX線CT装置を使った内部観察についてご紹介いたします。
X線CTとは、線源にX線を用いたコンピュータ断層撮影(CT:Computed Tomography)のことを指し、非破壊で物体の内部構造を検査できる手法です。
一般的にはX線検査として、病院等の医療用X線CT検査がよく知られていますが、工業用途として使用されるX線CT検査も品質検査において非常に重要になります。
図1.X線CT装置
X線CT装置は、測定物内をX線が透過する際の吸収の違いによって材質や構造を調査することができるため、金属3Dプリンターで造形した造形体の評価に適しています。例えば造形時に生じやすい空孔や未溶融粉末は機械的特性に影響を及ぼすため、X線CT装置を利用して欠陥解析検査などを行います。また複雑な内部流路構造をもった造形品の残留粉末の確認も可能です。
図2は径5mm程度の経路が内蔵されている造形体断面の画像です。
図2.CTスキャンした造形体断面
黒色はX線が透過している部分(空気)、灰色はX線を吸収しているので造形体、ぼやけた灰色は造形体でも空気でもないので残存している材料粉末となります。お客様に納品する際は、このぼやけた灰色部分がなくなっていることを確認することが重要です。
また当社では開発業務にもX線CT装置を使用しています。開発したパラメータで造形した試験片をスクリーニングして欠陥の有無を観察し、欠陥があればそれがどのように存在しているのかといった分析にも使用しています。ほかにもX線CT装置で検出された欠陥と、3Dプリンターに搭載されているOT(光トモグラフィ)で異常が生じた箇所との相関の検証も行っています。
アプリケーションによって要求される項目が異なるため検査条件は様々ですが、内部の欠陥分析にも役立つなど得られる情報も多いことから、X線CT装置の活用は品質保証の精度を上げることに役立つと考えています。

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