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2026.07.06

XAMが見てきた日本の3Dプリンター市場

 海外のニュースサイトを見ると、次々と先進的な事例や研究が紹介されています。一方の日本はというと、巷では5年、10年遅れているともう何年も言われています。以前メーカーの方とお会いした際に、「日本は新技術に対して保守的で、世界から遅れている。」とお話しをしたところ、「いやいや、そんなことはない。ニュースで見るのは進んだ国や会社の事例であって、他の国は日本を含めてどっこいどっこいだ。」と。
そこで今回は、30年日本市場で3Dプリンターを販売してきた当社の実績を振り返りつつ、日本の市場が現在どのような状況なのかを考察してみたいと思います。
1993年、当社はEOS社と総代理店の契約を締結し、当時はSLA(光造形、ステレオリソグラフィー)の3Dプリンターを販売しておりましたが、EOS社が3DSystems社との特許紛争で光造形事業を手放し、1997年から粉末焼結に専念したことにより、当社が販売する3Dプリンターも現在の粉末積層造形機に変わりました。というわけで、ここからは1997年以降、当社が3Dプリンターを販売し始めてからの話となります。
Additive Manufacturing(AM)、3Dプリンティングと呼ばれるこの技術も、普及し始めの頃は試作を早く作るラピッドプロトタイピング(Rapid Prototyping)でした。企業の試作部門や試作メーカーが、主に樹脂3Dプリンターを導入し、形状確認のために利用しました。その一方で、金属AMを金型業界に導入できないかという動きがありました。初期の金属3Dプリンターは、CO2レーザーで金属の造形はできるものの、現在のYbレーザーのように合金を溶かして緻密な造形物を作ることは困難でした。そのため、この時期に金属3Dプリンターを導入されたお客様の印象は、良くないものになってしまいました。これが、1990年後半から2000年前半の状況です。
そして、2008年にリーマンショックが起こります。世界的に金融システムが機能不全に陥り、円高が進み、輸出に依存していた日本では製造業に深刻な影響が出ました。資金調達が難しくなったことで、設備や研究開発などへの投資が凍結され、当社のAM事業もその影響で、リーマンショック後の数年間販売実績が低迷します。そのさなかの2009年に、ASTM(ASTM International:米国試験材料協会)はAdditive Manufacturingという言葉の定義を試作品を作る技術ではなく、最終製品を作る技術として定めました。
2013年、アメリカのオバマ大統領が一般教書演説で、「3Dプリンターはほぼすべてのものづくりの方法を変革する可能性がある」と紹介しました。この頃に3Dプリンターという呼称が使われ始めます。誰もがメーカーになれるというメディアの影響もあり、皆さんの記憶にも新しい3Dプリンターブームが到来し、期待値は急上昇します。当社でもリーマンショックの低迷後、経済の回復とブームの到来で一気にリーマンショック前の販売台数に戻します。この頃に世界中で増えたのが、新規ビジネスの立ち上げです。
1990年後半から2000年前半にかけてのブームは、まだ試作技術であったこともあり、造形する対象や導入企業が限定的でしたが、AM技術の進歩、主要特許の期限切れによる普及、国家による導入の後押し、メディアの影響など様々な要因で、2013年以降は世界中で3Dプリンターブームが巻き起こります。新しい技術をチャンスととらえ、受託製造業を始める部門や企業が多く登場しました。同時に医療や航空業界の事例が3Dプリンターメーカーから盛んに出始めます。そして、当社のお客様に変化が出始めるのもこの頃です。
それまでは、試作・受託造形のお客様が多かったのですが、自社製品の製造をするお客様が徐々に増え、ある時それが逆転します。試作や一品一葉の造形物と違い、実際に使用される製品となると、要求事項が大きく変わってきます。例えば品質保証や費用対効果などは、既存の工法で実現しているレベルを求められます。これらを乗り越えないと、なかなか生産技術として取り入れてもらえません。ここで活躍したのが当社の技術部隊です。当社も手探りの部分が多い中、お客様と一緒に課題を乗り越えノウハウを蓄積しました。
現在、いきなり3Dプリンターを買うというお客様は、以前と比べ少なくなっています。お客様の導入目的が製造に移行しているため、損益分岐点を超えるまでは受託製造サービスを利用し、超えたところでの購入や、すでに確立された3Dプリンターでの製造をスケールアップするなどのケースが増えている傾向にあります。これらの現象から、日本でも3Dプリンターの活用ステージが製造へ移ったと言えるのではないでしょうか。
次回は、製造を視野に入れたお客様が直面する課題について詳しく紹介したいと思います。
文中のワードについて。
「AM技術」とは、Additive Manufacturing(アディティブ・マニュファクチャリング)の略で、3Dプリンティング技術を意味します。

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